まだ夏も始まったばかりだというのに、暑さと湿気にはもううんざり!
こんな時はせめてのど越しの良いものが食べたい…と思って冷やし中華を食べに行ったはずなのに、気が付いたらスパイスのたっぷり効いたカレーを食べていた!?
こんな経験をされた方はいらっしゃいませんか?
今回はそんな夏と「スパイス」の不思議な関係に迫ります。
【これってスパイス?それともハーブ?】
スパイスと一口に言っても、その数は本当にたくさんありますし、定義も国によってまちまちです。
実はスパイスとはそんな曖昧な存在なんです。
特にわかりにくいのが、スパイスとハーブの違いです。
先にも触れた通り、この分類には国際的な基準が無いため、国や地域によってバラバラなんてことも珍しくありません。
辛いものがスパイス?と考えてしまいがちですが、ターメリックなどは辛みはありませんがスパイスに数えられることが多いと思います。
そんなスパイスとハーブの分類、その基準となるのが、「香辛料=スパイス、香草=ハーブ」という考え方です。
香辛料とは植物を乾燥させた調味料、香草は薬理作用を持つ風味付けの植物を指します。
かつては肉類の保存のために香辛料が珍重されていましたが、寒さの厳しいヨーロッパでは、香辛料になる植物を栽培できないため、輸入するより他ありません。
そして、それらの植物を赤道付近からヨーロッパまでの長距離を運ぶためには、乾燥させて日持ちを良くすることが必至だったのです。
「胡椒一粒は黄金一粒」という言葉もありますが、それは栽培できないがゆえの希少さはもちろん、輸送するために手間と時間をかけていたことも含めた相場だったのですね。
【スパイスで体をクールダウン?】
スパイスをめぐる分類は様々。
とはいえ、やはり赤道直下あたりを原産とする植物がスパイスと呼ばれているイメージが根強いと思います。
確かに、インドネシアやマレーシアなど、熱帯気候の国々の食事は香辛料を使ったものが多いですよね。
暑いのにも関わらず、食べれば体が熱くなるスパイスをたくさん使っている理由は何故なんでしょう?
これは、スパイスによって交感神経が刺激されるから、が大きな理由のようです。
まず、交感神経が刺激されることで一時的に血行が良くなり、体温が上がります。
そうすると汗をたくさんかいて体温を下げようとする機能が働きます。
エアコンの無い時代、赤道付近の暑い気候の中で生活するためには、体温調節は欠かせない機能でした。
日々の生活を少しでも快適に過ごすために、スパイスは人々に親しまれ食卓に並んでいたようです。
温暖化や都市化に伴い、日本の夏は亜熱帯化しつつあるといわれています。
気が付いたらカレーを食べていた!なんてことが起こるのも、暑さに順応しようと身体がスパイスを求めているからなのかもしれませんね。
Text by はむこ/食育インストラクター