世界にはさまざまな麺があります。
その中で日本を代表する麺と言えばそばを挙げる方も多いのではないでしょうか?
でも、実はそばが麺として食べられるようになったのは意外と後の時代になってからなのです。
【そばの生まれ】
そばの原産地は中国南部からヒマラヤ山脈にかけての高地が有力視されています。
日本に持ち込まれた時期は明らかになっていませんが、縄文時代までさかのぼることができるとも言われており、米の伝来より早いとする説もあります。
現在のように麺として食べられるようになるまではそば粉を練って作る蕎麦がきや、雑穀として食べるのが主流でした。
麺のそばが生まれたのはそれからずっと先、16世紀ころからではないかと考えられています。
実は麺のそばが生み出された場所や年数はいまだに明らかになっておらず、さかのぼれる最古の資料がこの時代のものなのだそうです。
それでも十分長い歴史がある、と思われるかもしれませんが、小麦を使って作る麺料理と比べると、ずいぶんと歴史の浅い存在なのです。
その後、江戸時代になると、そばは江戸っ子達に愛される料理になりました。
当時の浮世絵でそばを食べる人の姿が描かれていることからも、一般に浸透していることがわかります。
天ぷらや寿司も一般層への普及は江戸時代からということで、日本の代表的な料理の多くがこの時代に親しまれていたものなのですね。
【日本そば、なのに中国産??】
もともとはやせた土地でも育つ救荒食物の側面が強いため、日本以外のさまざまな国で食べられているのもそばの特徴です。
有名なところではフランスのブルターニュ地方で生まれたガレットや、ロシアのカーシャ(そばの実粥)などがありますし、原産とされる中国でももちろん食べられています。
そのため、世界的なシェアで見てみるとそばの生産量がもっとも高いのは中国なのだそうです。
国土面積の違いなどがあるので、単純な生産量を数えてしまえばそれ自体はおかしなことではないのですが…。
実は、日本の代表的な麺料理に数えられていても、日本のそば自給率はとても低いのが現状です。
そのため、国内で製麺しているものでも、原材料となるそばの産地は中国ないしアメリカ、ということは決して珍しくありません。
輸入品はちょっとなぁ…と思われる場合は、100%国産そば粉使用、と明記されている商品を選ぶようにすると良いでしょう。
Text by はむこ/食育インストラクター