65歳以上の高齢者人口は、10年前の5人に1人から、4人に1人となっています。
そして、なんと10年後には3人に1人と予想され、超高齢化社会が到来すると言われています。
今回は、美味しく楽しい食をサポートする「スマイルケア食」についてのお話です。
【「スマイルケア食」って何だろう?】
「スマイルケア食」とは、噛む・飲み込むなどの食べる機能が弱くなった方や栄養状態が優れない方、またそうした機能に問題はないものの健康な体を維持し活動するために栄養補給を必要とする方向けの新しい介護食品の愛称です。
スマイルケア食は食べやすさ・飲みこみやすさは勿論、「美味しさ」「見た目の美しさ」にもこだわり、食欲を掻き立て、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めることを目的としています。
従来の介護食では食材をミキシングすると、例え成形しても元の食材とは似ても似つかない見た目になってしまうというデメリットがありましたが、スマイルケア食メーカーの中には独自の技術で見た目がまったく変わらないまま、スプーンで崩せる程度の柔らかさを実現する企業も出てきています。
【スマイルケア食の区分】
実は「介護食」には明確な定義がなく、購入する際に何を基準にするべきか消費者が分かりづらいというデメリットがありました。
例えば同じ「食品を噛めない」状態でも、「舌でつぶせる」「歯ぐきでつぶせる」「弱い力でかめる」など、症状は様々です。
そこで誰にでも分かる客観的な指標が求められ、「高齢者ソフト食」や「嚥下食ピラミッド」などの基準が各団体で提唱されるようになりました。
しかし、複数の指標があると消費者の混乱を招く恐れがあるため、農林水産省が「スマイルケア食」の7つの分類とマークを定め、基準を統一することになりました。
スマイルケア食はまず青・赤・黄の3種類に分類されます。
<青>
噛む事、飲み込むことに問題はないものの、健康維持上、栄養補給を必要と する方向けの食品
<黄>
噛む事に問題がある方向けの食品
(容易に噛める、歯茎で潰せる、舌で潰せる、噛まなくて良いの4段階)
<赤>
飲み込むことに問題がある方向けの食品
(ペースト状、ムース状、ゼリー状の3段階)
農林水産省のホームページなどにはスマイルケア食の選び方の早見表が載っていますが、食べる事について気になる事があれば医師や歯科医師、管理栄養士などにご相談してみて下さい。
スマイルケア食はドラッグストアや介護用品を扱う店舗、スーパーなど取り扱っている所が次第に増えつつあります。
美味しさと栄養を兼ね備え、豊富なバリエーションがある「スマイルケア食」が充実し、より身近にとり入れやすくなるのもそう遠くはないかもしれません。
Text by ろい/食育インストラクター