サヨリは長細い体に長く伸びている下あごが特徴で1~4月に旬を迎えます。
ちなみに身の太さが均一で大きいものは扉の留め具に見えることから、「かんぬき(閂)」とも呼ばれています。
逆に小さいものは「えんぴつ」と言うそうです。
【海の貴婦人は腹黒い?】
サヨリは素晴らしく美しい姿や下顎の先端が紅をさしたように紅いことから“海の貴婦人”とも呼ばれています。
しかし、お腹を開くとびっくり!
外見はとても綺麗な魚ですが、下ごしらえで腹を開きワタを取り出すと、真っ黒い膜が張り付いています。
そこから、「外見と違い、実は腹黒いやつ」という例えに使われるようになり、昔は腹黒い人のことを“サヨリのような人“と表現したようです。
調理するときにはこの黒い膜は綺麗に取り除いてから使います。
【長い下あごは何のため?】
長い下あごは身を守るための武器ではなく、表層近くにいるプランクトンや、 落ちて水面に浮かんでいる昆虫などをすくい取って食べるのに役立っています。
最近では、スーパーではなかなか見かけないお魚になってきましたが、下あごの先端が鮮やかな赤で、銀青色の背や白い腹部が綺麗なものが新鮮です。
脂肪が少なく、淡泊な味わいの高級魚で春の訪れを告げてくれるように、新鮮なものはお刺身や昆布じめに、あとは天ぷらや椀だねなどに使うと料理に季節感を出すことができますよ。
Text by ざわちゃん/食育インストラクター