みなさんは「セイボリータルト」をご存知ですか?
セイボリータルトというのは、野菜や肉、魚などを使った、お食事系タルトのこと。
欧米では、朝食やランチ、おもてなしの一皿として、日常的に親しまれているようです。
最近のブームとして、甘くない食材を使ったスイーツが多くみられるようになりました。
甘くないフレンチトースト、パンケーキ、ワッフル…
本当にいろいろな進化形スイーツがありますよね♪
今回はそのひとつ、「セイボリータルト」についてのお話です。
まずは「タルト」についてのご紹介です(*^^)
【タルトの語源】
古代ローマ時代(ラテン語)では丸い皿状の菓子を「トールタ(tōrta)」と呼んでおり、そこから「タルト(tarte)」(フランス語)という言葉に変化しました。
ちなみに愛媛県の銘菓である「タルト」は、カステラ生地であんを巻いてロールケーキ状にしたお菓子ですよね。
これは松山の初代藩主・松平定行公が、長崎での滞在時に出会ったポルトガル菓子にヒントを得て生まれたそうです。
【生地の種類と作り方】
タルトの生地には甘いものと、甘くないものがあります。
材料はもちろん、作り方も少し違い、食感も変わってきます。
今回は二つに分けて、材料や手順からコツや理論のお話をします。
○パート・ブリゼ(Pate brisee)・・甘くないタルト生地
「パート」とは「生地」のことで、「ブリゼ」とは「砕けた」という意味です。
粉とバターをすり合わせて作り、サクサクと砕けるもろい生地です。
「薄力粉・バター・卵黄・食塩・水」が基本材料となります。
バターが溶けてしまわないように、材料を冷やしておきます。
粉にバターを切り混ぜて、細かい粒状にしてから水分(卵黄)を加えることで、サクサクに焼きあがります。
ちなみに、粉とバターを混ぜて細かくする作業を「サブラージュ」といいます。
粉の中に均一にバターを分散させることによって、水分と小麦粉がつながるのを防ぎ、グルテン(粘りのもと)がつくられないようにします。
生地を混ぜ合わせるときは、練るのではなく、生地を切って重ねていくようにして全体をまとめ上げていくことがポイントです。
生地のつながりがよいので、液状のタネを入れることができ、高温で長時間焼くのに向いています。
焼いたときに縮みやすいので、のばしたら十分に休ませることが大切です(^^)/
○パート・シュクレ(Pate sucree)・・甘いタルト生地
シュクレとは「砂糖」をあらわします。
クリーム状にしたバターに、砂糖、卵を加えてよく練りこみ、それから粉と混ぜ合わせるので、砂糖と卵を取り込んだバターと粉が結びつきません。
さらに、水を使わないのでグルテンが形成されにくくなり、口どけのよい生地となります。
基本材料は「薄力粉・バター・粉砂糖・全卵・食塩」です。
水分量が少ないので、溶けやすい粉砂糖を使います。
バターをクリーム状にしているので、生地は必ず十分に冷やして、手早くのばしましょう。
【セイボリータルトを作ってみよう】
以上のポイントをおさえて、簡単にセイボリータルトについてのレシピをご紹介します。
コレといった決まりがなく、自由にアレンジできるのがセイボリータルトの素敵なところです。
大きな型よりも小さめな型で、パートブリゼを空焼きして、そこにじゃが芋、かぼちゃなどのペーストや、炒め玉ねぎ、その上にお好みの野菜やソテーした肉・魚、チーズなど、さまざまお好みのものをのせて焼けば、かわいくてオシャレなタルトができあがります!
味付けも盛り付けも、たくさんのアレンジで楽しめて、おもてなしにもピッタリな一品になること間違いなしです!
甘~いタルトもおいしいのですが、「セイボリータルト」をぜひとも楽しんでみてはいかがでしょうか♪
Text by ナナちゃん/食育インストラクター