砂糖と言えば、「甘味をつける食材」というイメージが強いかと思いますが、実はそれだけではありません。
今回は料理をするときに役立つ砂糖の調理効果をいくつかご紹介します。
【砂糖はどのようにして日本へ伝わったの?】
砂糖の起源は諸説ありますが、紀元前4世紀にインド遠征をしていたアレキサンダー大王が砂糖の原料である「サトウキビ」を発見し、それをかじって糖分を摂ったということから、砂糖はインドで誕生した可能性が高いとされています。
そして日本に伝わったのは奈良時代。
その頃はまだ今のように食用としては多用されておらず、主に薬として扱われていました。
ヨーロッパでサトウキビの栽培と砂糖の製造が始まったことから、日本でも室町時代になると砂糖の輸入が行われました。
それは、茶の湯が流行したことがきっかけであると言われています。
その後、江戸時代の初期に日本でも砂糖の生産がはじまり、明治時代には一般の人にも手に入る調味料となっていきました。
【知っておくといつもの料理が違うものに!?砂糖の調理効果】
①お肉をやわらかくする
たんぱく質は加熱するとかたくなる性質をもっていますが、砂糖にはたんぱく質と水を結びつける作用があり、肉などのたんぱく質(主にコラーゲン)を含む食材がかたくなるのを防ぎます。
その為、肉の下ごしらえのときに砂糖をあらかじめもみ込んでおくとやわらかく仕上げることが出来ます。
冷めてもかたくなりにくいため、お弁当のおかずにも向いています。
②卵をふわふわにする
卵のたんぱく質に含まれる水分が砂糖によって吸収され、たんぱく質のかたまる温度(凝固温度)が高くなり、ゆっくりとかたまります。
その効果により、卵焼きやオムレツをふんわりと仕上がります。
また、メレンゲやホイップクリームを作るときに砂糖を加えますが、これはたんぱく質の水分を砂糖が抱え込むことで泡を安定させて泡立ちを良くし、きめ細かな状態を保ってくれるからです。
③でんぷんのやわらかさを保つ
ご飯や餅などのでんぷんを含む食品を加熱し、そのまま時間を置いておくと次第に粘りを失い、かたくなってしまいます。
これはでんぷんの老化によるものですが、ここにあらかじめ砂糖を加えておくとやわらかい状態を長く保つことが出来ます。
寿司飯や餅菓子、羊羹などがかたくならないのはこの効果によるものです。
この他にも、「微生物の増殖を抑え腐敗を防ぐ」、「コーヒーなどの苦みやかんきつ類などの酸味を和らげる」、「食欲をそそる焼き色やこうばしい香りをつける」など、砂糖にはまだまだたくさんの効果が期待できます。
私たちの身近にある「砂糖」。ぜひその効果を知って普段の料理に活用してみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター