初めてルッコラを食べた時、その味に衝撃を受けたのを今でも覚えています。
葉の色はあまり色濃くなく、そこまで強い香りも感じなかったので、レタスと同じ感覚で食べたら…想像もしなかった苦味に思わず顔をしかめてしまい、自分の子ども舌を実感しました。
今では食べなれてしまったのでどうということはありませんが、似たような感想を抱く方は意外とたくさんいらっしゃるようで、苦味の他に辛味もあった、なんてご意見もお見かけします。
さて、そんなルッコラ(別名ロケットともいいます)、日本で市場に出回り始めたのは1990年代以降という比較的新しい食材なので、馴染みが無い方も意外と多かったりします。
今回はそんな「ルッコラ」のお話です。
【美貌を保つ??その栄養】
ルッコラの原産地は地中海沿岸部、栽培の歴史は紀元前にまで遡ることができるそうで、かのクレオパトラが美容のために愛食していた野菜とはルッコラのことではないかという説があります。
ルッコラの栄養価で特に豊富なのはカリウムとビタミンAとC、それから葉酸などが挙げられます。
なかでもビタミンAは皮膚の健康を保つビタミン、それにビタミンCはコラーゲンの生成を助ける働きもある美肌ビタミンなので、美容のために愛食していたというのも頷ける話ですね。
それから葉酸は妊娠時に欠かせない栄養素の1つです。
また、妊娠時には高血圧の症状が出る方も少なくないので、血圧の上昇を抑える働きのあるカリウムが含まれているのも嬉しいポイントです。
医療技術や栄養についての知識がまだ少ない古代においては、薬草のような扱いだったのかもしれませんね。
【あの苦味と辛味の秘密は…?】
苦味については土壌の栄養不足や虫害による影響など、様々な要因があるようなのですが、辛味については原因がはっきりしています。
その正体はアリルイソチオシアネートという辛味成分です。
アリルイソチオシアネートはわさびにも含まれているので、あの辛味は実はわさびと同じもの(!)と言えます。
ちなみに、アリルイソチオシアネートは揮発性の高い成分なので、加熱すれば辛味を抑えることができます。
ただし、抗菌作用やがん予防、血液サラサラ効果など、多くの健康効果が期待できる成分でもあるので、加熱してしまうとそれらの効果が弱まってしまうというデメリットも…悩ましいところですね。
ルッコラはそれだけを食べるよりは、ベビーリーフなどで若い葉をごく少量食べる機会の方が多いようです。
ベビーリーフに使われるような若い葉の方が苦味辛味が控えめの傾向にあるそうなので、そこまで心配するほどではないのかもしれません。
ただ、自家栽培などでは外れを引いてしまうこともあるようなので、その時は素直に加熱して食べるのがおススメです。
Text by はむこ/食育インストラクター