あまくておいしい「プリン」は、卵・牛乳・砂糖のシンプルな材料から出来ています。
今では、とろ~りとろける食感のプリンから、さまざまな味わいのプリンがたくさんありますよね。
今も昔も愛されている、「プリン」についてのお話です。
【プリンはイギリス生まれ、フランス育ち】
「プリン」と日本ではよく呼ばれますが、正式名称は「プディング」[pudding]で、イギリスで生まれました。
もともとはスイーツとしての食べ物ではなく、余ったパンの切れ端に卵、レーズン、ラードなどを合わせて塩と香辛料で味をつけて蒸した、甘くない食べ物でした。
その由来は、パンの切れ端やくずをどのようにしたら捨てずに美味しく食べられるか、という家庭のアイデアから生まれたそうです。
そして、海をはさんだ隣国であるフランスに渡ります。
18世紀の終わりごろのことでした。
この時代、フランスでは才能豊かなシェフやパティシエが多く輩出され、現在に至るさまざまなレシピや調理本、菓子本などが出版されました。
卵にミルク、砂糖、そして香り付けのバニラ、さらにカラメルをのせるという、今では定番の手法がフランスで出来上がりました。
フランスでは、クレーム・カラメル [crème caramel] 、クレーム・ランヴェルセ・オ・カラメル [crème renversée au caramel] と呼ばれています。
ちなみにランヴェルセ[renversé]とは「ひっくり返した、上下逆にされた」という意味で、型を逆さにして皿にあけて取り分けて食べるところからきています。
【プリンが固まるワケ】
卵に含まれるタンパク質が、加熱によって固まる性質を利用して、プリンは作られます。
ちなみに砂糖にはタンパク質の凝固を遅らせる作用があり、砂糖の量が少ないほど舌ざわりはかたくなります。
【「す」が入るワケ】
「す」ができてしまうのは、卵が固まる温度に関係しています。
卵は60℃から固まりはじめ、75~80℃でほぼ完全に固まります。
プリンの場合は牛乳や砂糖が入るため、卵のときより固まりにくくはなりますが、それでも100℃で沸騰する水よりも、低い温度で固まります。
高温で急激に熱したり、固まっているのに加熱し続けると、中に含まれる水分が沸騰して水蒸気となるものの、固まった卵の中で行き場を失い、「す」ができてしまうのです。
「す」が立たないためには、温度調節がポイントとなります。
蒸し器を使う場合は、鍋底に布巾を敷いたり、蓋をずらしたりと熱のあたりを調節して、急激な加熱を防ぎます。
オーブンで加熱する場合は、天板に布を敷いて湯を張り、庫内が高温になるのを防ぎ、同時に熱のあたりをやわらかくさせます。
湯の量が少ないと、途中で蒸発して庫内温度が上昇するので気を付けましょう。
【“かため”と“やわらかめ”のちがい】
しっかりとしたかためのプリンは、全卵と牛乳を使いますが、なめらかな味わいのプリンは、卵黄、もしくは卵黄と全卵、牛乳の一部を生クリームにかえて作られています。
卵黄を多く加えることで濃厚な味と、やわらかでまったりとした味わいになります。
卵白が多いとかたくサッパリとした味になります。
ぷるっと歯ごたえのあるプリン、とろ~りとろけるプリン、みなさんどちらがお好みですか?
手軽でおいしいプリンを、ぜひとも家庭でも味わってみてください♪
私は大きい皿で作る、フランス流のクレーム・カラメルに挑戦してみようと思います。
Text by ナナちゃん/食育インストラクター