牡蠣は「貝塚」から殻が出てくるほど昔から親しまれ、海外でも食べていた記録は古代ローマ帝国にまでさかのぼるとか。
ポイントを押さえて旬の牡蠣を楽しみましょう。
【海外ではどう食べてる?】
中華料理の世界では牡蠣を加熱して使うことが多く、炒め物にしたり、牡蠣を原材料にしたオイスターソースはあまりに有名で、様々に加工して楽しんできた食文化だと言えそうです。
【日本では…】
生食用と加熱用で売られていますが、違いをご存知でしょうか。
「生食用」は殺菌した海水に牡蠣を一定の時間入れてから出荷されます。
牡蠣は海水を吸い込んで体外に排出する性質があり、吸い込んだ時に海水に含まれる様々な栄養を身にとどめます。
その時、食べると食中毒を引き起こす恐れのある菌も、一緒に体内へ取り込んだ可能性があるため、殺菌した海水の中に一定期間入れて細菌を体外に出す工程を行い、「生食用」として出荷します。
「加工用」はこの工程を行わないため、一般的にはうま味や栄養価が多いと言われていますが、しっかり加熱することが重要となります。
二つの違いは鮮度の違いだと思われがちですが、出荷までの工程が異なるため、購入する時には注意が必要です。
【うれしい栄養】
古代ローマ時代も栄養価が高いと重視していたようで、その要因は豊富なグリコーゲンとタウリンに由来するものだと考えられます。
グリコーゲンは、肝臓の働きを高めて糖質を効率よくエネルギーに変えるため、疲労回復に効果的です。
また、タウリンも肝臓を正常に保つ働きがあるほか、血中コレステロールを抑えます。
さらに味覚を正常に保ったり、細胞を新しくして皮膚や骨の発育を促す亜鉛も含まれています。
不足しがちな栄養素だと言われているので、苦手でなければ積極的に食べたいものです。
動物性のたんぱく質と一緒に食べれば吸収率アップが期待できるので、八宝菜に牡蠣を加えたメニューにしてはいかがでしょうか。
この時、牡蠣は下味をつけ片栗粉をまぶして揚げておくなど、しっかり加熱して仕上げに混ぜ合わせるとよいでしょう。
この他、鉄を豊富に含むため貧血予防にも役立ちます。
ビタミンCと一緒に食べれば吸収率がアップするため、牡蠣にレモンをかける食べ方は理にかなっていると言えます。
これらの食べる時のポイントを押さえながら、牡蠣を美味しくいただきましょう。
Text by ゆず/食育インストラクター