沖縄では普段の料理はもちろん、行事食には欠かすことのできない食材、豚肉。
戦前までは多くの農家で豚を飼い、正月前につぶして(解体して)、お正月に食べ、食べきれなかった分は塩漬け(スーチカー)などにして保存されていたそうです。
沖縄の豚肉料理が本土と違うところは、頭から足先まで丸ごと「鳴き声以外は食べる」というほど、いろいろな部位を手間ひま惜しまず工夫して、おいしく料理されること!
公設市場の肉屋さんでは、本土のスーパーでは見かけない部位がところせましと並べられていて、本当にびっくりしました!!
ということで、今回は沖縄の市場で見かけた豚肉の部位とその料理をご紹介します。
<ソーキ>
あばらの部分。
同じ部位でも本土の「豚スペアリブ」は骨にお肉がついた細長い形をしているけど、沖縄では骨2本どりの正方形っぽい形で「骨ソーキ」と呼ばれる。
ソーキ汁や煮込んだソーキを沖縄そばにのせて食べられることが多い。
本土に売られていない「軟骨ソーキ」という、あばら骨の先の部分もある。
<ミミガー・チラガー>
ミミガーは耳皮、チラガーは顔皮。
ミミガーは沖縄料理やなどでもよく目にすることのあるコリコリした食感が特徴の部分。
下ごしらえ済みのカットされたものも売っているけど、やっぱり丸ごと(茹でた状態で売られている)をさらに茹でて作った方が美味。
<足テビチー>
いわゆる豚足。買う時に
①足先(チマグー)付きかどうか
②前足がいいか後ろ足がいいかを聞かれ、
あたふたしながら、チマグー付きの前足に。
後ろ足の方が肉が多めだった!
ポピュラーなのは下ごしらえしたテビチーと大根と結び昆布をコトコト煮込んで、塩としょうゆちょっとだけで味付けしたシンプルなお料理。
コラーゲンたっぷりの汁で煮込まれた大根もおいしい。
<中身>
胃や腸。
本土では、もつ煮とかホルモン焼きに使われることが多いけど、沖縄ではお祝いごとに欠かせない「中身汁」という吸い物に使われる。
下ごしらえ済みのも売っているけど、小麦粉をまぶしてもみ洗いして、何度もゆでこぼすという手間ひまをかけて作る中身汁は臭みがなく、食べやすい。
<血>
血を使って料理を作ったことはないけど、旅行で来た時に「チーイリチー」という、野菜や肉と豚の血を使った炒め煮を食べたことがある。
生のにんにくがたっぷり添えられていてレバーっぽいコクがある味。
<豚三枚肉>
本土と違うところは、皮付きで売られていること。
丸ごと茹でてからチャンプルーやラフテーに、甘辛く煮込んで沖縄そばの上にのせたりと、いろいろな料理に使われる。
お正月や旧盆前には市場だけでなくスーパーでも、パックに入れられていない生の三枚肉が山積みなって売られている光景を見かける。
<Aロース Bロース>
本土では「豚ロース肉」、「豚肩ロース肉」って売られている部位も沖縄ではアメリカ統治下時代の名残で、Aロース、Bロースと売られていることもある。
もちろん骨も豚だしに使われるし、本当に余すところなくいろいろな料理に使われています。
スーパーでパックされている薄切り肉やひき肉を買ってお料理していると忘れがちだけど、沖縄に来て、いろんな豚肉料理を作ったり食べたりすることで、命をいただいているという感謝の気持ちを改めて感じるようになりました。