日本人は世界で最も海藻を食べる民族だと言われています。
確かに身近な食材である海藻なのですが、身近過ぎて、意外と違いや特徴を知らずに食べていることも少なくありません。
今回はそんな海藻の中から、青のりと岩のりについてのお話です。
【のりと言っても違うもの】
「風味が違うけどのりと言うからには同じものなんだろう」 そんなふうに思われている方もいらっしゃるかもしれないのでお答えしますと、青のりと岩のりは違うものなので、味や香りが違うのも当然のことなんです。
青のりはアオサ目に属するヒトエグサや、アオノリ属に属する海藻が主原料です(実際にはさらに細分化されています)。
一方の岩のりは、岩場に自生しているのりを指しています。
そのため、原料となるのがどの種類ののりなのかではなく(一般的にはアマノリが多いようですが)、天然のものかそうでないかという点で、岩のりかそれ以外かに分かれます。
【青のり=あおさのりではない? 意外と知らない違い】
岩のりという商品名についての表記は公正競争規約の中でも明文化されており、破れば行政処分もあり得るほど厳格な取り決めです。
一方の青のりという商品名の表記については、原材料や製造法などで使用が制限されていることは無いようです。
そのため、青のりと思っていたら原材料はあおさのりだった、ということもあり得ます。
青のりはヒトエグサ属ないしアオノリ属、あおさのりはアオサ属で作られるという違いがあります。
どちらもアオサ目に属しているため、味や香りの似ている親戚のような存在ではあるものの、厳密には違うものなのですね。
ヒトエグサ属ないしアオノリ属から作られた青のりは香りや味が良いのですが、コストは高く、料亭などで使用されることが多いようです。
このため、香りや味は落ちるものの、安価なアオサ属を使って作ったものも「青のり」として販売されています。
一般的にスーパーなどで販売されているのはこちらの青のりです。
ある種ブランドのような存在である岩のりに対して、意外とはっきり区分されていない青のり…頭の片隅に留めて頂くと、お買い物の際に役立つかもしれませんね。
Text by はむこ/食育インストラクター