夏野菜の代表格のひとつである「なす」。
なすには体を冷やす効果があるので、暑いこの時期にぴったりです☆
今回は、知っているようで意外と知らない?なすの魅力に迫ります♪
【なすってどんな野菜?】
インド東部が原産とされるナス科の野菜です。
日本に渡来した歴史は非常に古く、750年にはすでに栽培されていたという記録があります。
当時は「なすび」と呼ばれ、現在でもその名残が地域によって残っています。
世界的にはアジア地域における生産量が多く、2017年の統計では日本における生産量は世界第7位となっています☆(ちなみに第1位は中国でした。)
【日本各地にご当地なすがある??】
なすが伝来して1200年以上もの歴史があるだけに、風土に応じた品種が多数あります。
なすは、その地に応じて形の好みやなじみの調理法があり、まさに地方色豊かな食文化を見ることができます☆
例えば、新潟県長岡の巾着なすという品種は、巾着の形で肉質がしっかりした重みのあるなすです。
この地方では焼きなすではなく、蒸しなすとしてよく食べられているそうです。
地域別に見てみると…
●関東→約12~15cm長さの中長なすや卵形なす
●関西→約20~25cm長さの長なす
●九州→約40~45cm長さの大長なす
が好まれているようです。
そのほか、京都の丸い賀茂なす・大阪泉州の水なす・山形の小丸形の民田(みんでん)なすなどの伝統的ななすも全国的に知られるようになりました。
【どんな栄養があるの?】
なすの約9割は水分で低カロリーなので、ダイエットには適した食材と言えます。
ここでは、注目の栄養成分を詳しく見ていきたいと思います!
●ナスニン
ポリフェノールの一種であるナスニンは、なす特有の色素成分です。
コレステロール値を減少させる効果があり、高血圧や脂質異常症、血管のトラブル予防に役立ちます。
皮に含まれているので、できるだけ皮ごと調理して栄養を有効に摂り入れましょう☆
●クロロゲン酸
なすのアクのもとであるクロロゲン酸も、ポリフェノールの一種です。
強い抗酸化力があり、生活習慣病の予防や美肌効果が期待できます。
●カリウム
余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみの予防・改善に働きます。
カリウムは汗と一緒に流出しやすく、不足すると食欲不振やだるさを引き起こすので、暑いこの時期は特に積極的に摂りたい栄養素です。
いずれも水溶性のため、水にさらす時間はなるべく短めにしましょう。
汁物や煮物にするのもおすすめです♪
【なすの紫色をいかして調理するには?】
鮮やかな紫色のもととなるナスニンは、長時間加熱すると色素が抜けてしまいます。
発色をよくするためには、短時間で加熱するor油で皮をコーティングするというのがポイント!
皮に筋目を入れ、油をまぶして皮目から焼くと鮮やかな紫色が保てますよ☆
実から焼くと、水分が皮を通して蒸発し色が抜けてしまうのでご注意を!
【なすのぬか漬けがおいしい理由☆】
皆さんは、なすのぬか漬けはお好きですか?
くったり漬かったなすは味わい深く、ご飯との相性抜群ですよね☆
そのおいしさの秘密は…“栄養の引っ越し”にありました!
発酵したぬか床には、ビタミンB群やカルシウム・鉄・乳酸菌・ナトリウムなどさまざまな栄養素が含まれています。
そこに野菜を漬けると、塩の浸透圧により野菜の水分が抜け、その代わりにぬか床の栄養成分が染み込みます。
なかでも、なすの果肉はスポンジ状になっているので、多くの成分を吸収しおいしくなるという訳です☆
ただし、塩分が高いので食べ過ぎには気をつけましょうね!
【なすも風邪を引く?】
新鮮ななすの切り口は全体的に白く、種も目立ちません。
しかし、古くなってくると種の周りが褐色になり、肉質はかたくなっていきます。
これが俗にいう「なすの風邪引き」、低温障害です。
野菜の保存は、生育環境に近い状態に置くと鮮度が保たれます。
なすはインド原産の暖かい地方の野菜です。
また、水分が多く傷みやすいのが特徴です。
保存は、ラップで包むなどして水分の蒸発を防ぎ、8~12℃で保存するのが理想的です。
5℃以下だとかえって品質が悪くなるので、季節や冷蔵庫の機能で判断し、早めに食べるよう心掛けましょう。
【おいしいなすを見極めよう!】
なすを購入する際は、次の点をしっかりチェックしましょう!
●トゲが触ると痛いくらい鋭く、ガクが反り返っていないもの
●ヘタの切り口がみずみずしいもの
●皮にハリとツヤがあり、濃い紫紺色のもの
数多くの品種がありますがどれも味にクセがなく、果肉がスポンジのような構造なので、ほかの食材のうま味や出汁を吸収しやすく味が染み込みやすいという特徴があります。
和・洋・中、さまざまな料理に活躍する「なす」。
皆さんもぜひ、ご家庭で堪能してくださいね☆
Text by ろい/食育インストラクター