春の訪れと共に咲く花はたくさんありますが、花が咲く前にも楽しめるとなると、数は少なくなってきます。
今回はそんななかでも、花が咲く前こそが一番おいしい「菜の花」についてのお話です。
【野菜としては新しい】
菜の花というと歴史ある野菜で、古来から食べられていた…と考える方もいらっしゃるかもしれません。
実は、これは半分は当たりで、半分は外れなのです。
菜の花の食用の歴史は新しく、明治時代に入ってからだと言われています。
つまり、まだ100年と少し程度で、「古来から食べられていた」という言葉を使うにはちょっと若すぎる野菜なのです。
しかし、菜の花そのものは種から搾る油を求めて、各地で栽培されていました。
そのため、栽培の歴史自体は1000年以上前(!)にも遡ることができるのだとか。
考えてみれば、種を採取するためには花を咲かせなければならないのですから、花が咲く前の段階で食べてしまうなんて本末転倒なのかも…!?
【エディブルフラワー…とも言えるけど?】
買ってみたはいいものの、ついつい冷蔵庫に入れっぱなしにしていたら花が咲いていた!
これって食べられるものなの??
購入時期によっては、数日放置していただけでも開花してしまうのが菜の花です。
もちろんこの花、食べても健康に問題はないのですが、あまりおススメな食材とは言えません。
と言いますのも、花を咲かせるために栄養を使うため、茎が固くなってしまったり、風味が落ちてしまうからです。
少なくとも、わざわざ開花するのを待って食べるような食材ではないと言えるでしょう。
そのため、花が咲いているのを見つけたら、その日のうちに召し上がることをおススメします。
花が咲いた菜の花は風味こそ落ちますが、花のもたらす視覚効果は絶大です。
しっかりアク抜きをして、パスタやお吸い物に加えて頂くとぐっと春らしさを感じる華やかな一品になりますよ!
【苦味か、栄養か!?】
菜の花は栄養価の高い野菜ですが、その栄養価の中には水に溶けやすい性質のビタミンCや葉酸といった成分も含まれています。
そのため、あまり長い時間をかけてアク抜いてしまうと、せっかくの栄養も大きく損なわれてしまう可能性があります。
そうはいっても、アクが残っていると苦すぎて食べにくい…と、なんとも悩ましい野菜です。
なんとか「いいとこどりをしたい!」とお考えの方は、調理方法で工夫してみてはいかがでしょう?
例えば、調味料ならマヨネーズやみそなど、滑らかな口当たりで味に余韻があるものと合わせた方が苦味が感じにくくなります。
また、煮物や汁物など、汁ごと食べられる調理法なら、水に溶けた栄養素を無駄なく摂ることも可能です。
菜の花は今の季節だけ食べられる限定品。
和食にも洋食にも合うので、美味しいタイミングを見逃さずに、いろいろな方法で召し上がってみてはいかがでしょう?
Text by はむこ/食育インストラクター