モロヘイヤはトマトやなすなどと同じ、夏野菜の一種です。
学校給食でも、かきたま汁やお浸しなどにして提供されています。
今回は、香りや味にクセがなく、小さなお子さんも食べやすい「モロヘイヤ」についてのお話しです!
【王様もクレオパトラも大好きだった!?】
エジプトで5000年以上前から食べられていたモロヘイヤは、アラビア語で“王様の野菜”という意味の「ムルキーヤ」が語源であると言われています。
かつて、どんな薬も効かない程の重病を患ったエジプト王が、モロヘイヤの葉を刻んで作ったスープを飲み、病気が治ったという言い伝えから“王様の野菜”と呼ばれるようになりました。
また、栄養価や美容効果の高さからクレオパトラも好んで食べていたと言われています。
水分の少ない過酷な地域でも生長するモロヘイヤは、現代のエジプトでは伝統的な家庭料理としてスープにしてよく食べています。
各家庭にはマハラタと呼ばれるモロヘイヤ専門の包丁があるそうですよ。
【栄養の宝庫!】
古くから、栄養価の高さが注目されていたモロヘイヤ。
ここでは、注目すべき栄養成分を一部ご紹介します。
●β-カロテン
モロヘイヤは、人参やほうれん草よりもはるかに多いβ-カロテンを含んでいます。
β-カロテンは体内でビタミンAとして働き、肌荒れの他、ドライアイや疲れ目などの眼病予防に役立ちます。
●ビタミンC
美肌を作るコラーゲンの生成に必要不可欠なビタミン。
免疫力を高め、風邪を予防し、回復を早めます。
●マンナン
葉を刻むと出てくる粘りは、水溶性食物繊維のマンナンなどによるものです。
マンナンは水分を吸収し、胃や腸管を刺激する事で便秘改善などを促し、コレステロールや血糖値の上昇を抑える働きがあるとされています。
●カルシウム
骨や歯を丈夫に保つ他、中枢神経を鎮めてイライラ感や過敏症を抑える働きがあり、ストレス緩和に有効です。
【調理のポイント】
●モロヘイヤは、苦みやアクのもとであるシュウ酸を含んでおり、多量に摂取するとカルシウムの吸収を妨げ、結石や骨粗鬆症の原因になる事があります。
シュウ酸は水溶性なので、茹でたり水にさらす事で大半を取り除く事が出来ます。
●茹でたり、炒めたりする事でビタミンCが水に流出してしまうので、加熱は手早く済ませましょう。
【効果的な組み合わせは?】
モロヘイヤに含まれるカルシウムの吸収を助けるのが、ビタミンD!
ビタミンDはきのこ類や小魚などに豊富に含まれており、しめじやじゃこをお浸しに加えて食べれば、歯や骨の健康維持に役立ちます。
その他にも、山芋や納豆などのネバネバ食材と組み合わせればスタミナ強化に最適!
夏バテ気味の方にもおすすめです。
【モロヘイヤの種・さやにはご注意を!】
モロヘイヤは生命力が強く栽培が比較的簡単なので、家庭菜園で育てている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その場合は注意が必要です!
モロヘイヤの成熟した“種”や“さや”にはストロファンチジンという成分が含まれており、めまいや嘔吐を起こす恐れがあります。
食品安全委員会では「一般の店頭で販売されているモロヘイヤは、栽培管理されて若い茎や葉を出荷していますので、商品に有害な成分は含まれていません。」
という発表をしています。
ご家庭で栽培されている方は、“種”や“さや”はお召し上がりにならないよう、十分に注意してください。
ツルツルとした口当たりで食べやすく、栄養価が高いモロヘイヤは夏バテ予防にもぴったりです。
店頭で見かけた際は、是非手にとってみてはいかがでしょうか?
Text by ろい/食育インストラクター