豆類は古くから、日本の食事に欠かせない存在でした。
その歴史は中国から米が伝来するより前にさかのぼることが出来、遺跡から豆類の原種が出土されています。
しょうゆやみそといった調味料は大豆から作られていますし、和菓子に欠かせないあんこを作るにはあずきが必要です。
ですが、身近過ぎるせいで詳しく知らないこともよくあるお話。
今回はそんな豆たちについてお伝えします。
【すごいのは当然だった!?】
「豆」とはいったものの、言い換えれば植物の種です。
一般的に種は植物が発芽するために必要なエネルギーをため込んでいるので、栄養価は高くなるのが普通です。
動物に例えれば卵と同じようなものです。
豆の種類によって栄養価は異なりますが、いずれの豆も食物繊維の含有量が多いのが共通点です。
食物繊維は日本人に不足している栄養素のひとつなので、意識して摂るように心掛けたい成分のひとつです。
そして、豆は含んでいる栄養素のうち炭水化物が50%以上含まれているか否かで分類されます。
含まれているタイプの代表があずき、含まないタイプは大豆や落花生と覚えておくと分かりやすいですよ☆
含まれているタイプ(便宜上、以下は炭水化物タイプと表記します)はミネラル豊富で、特に、余分なナトリウムを排出してむくみ予防に効果的なカリウムが含まれているのが特徴です。
大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほどたんぱく質が豊富で、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも含まれています。
落花生はレスベラトロールというメタボ予防に働くポリフェノールや、疲労回復に役立つビタミンB1も豊富。
それぞれ優れた栄養素をもつ豆類です。
炭水化物タイプの豆はペーストなどにすると粒子のざらつきを舌に感じる、あんこのような食感が特徴。
インゲン豆やエンドウ豆もこちらのタイプなので、砂糖と一緒に煮るとほっこりしたインゲン豆の煮物や、鮮やかな緑色のうぐいすあんになります。
含まないタイプの大豆や落花生は煎ると香ばしくカリカリになるので、おやつやおつまみとして食べられることも多いですね。
【下処理が面倒くさい方は…】
栄養価の高い食べ物だと知ってはいても、乾物の豆を日常的に料理に取り入れている方はそう多くないと思います。
まず、水で戻すだけでも数時間かかる(一晩かかることも…)し、煮豆にしようと思えばそれから時間をかけて煮る…と、手間暇をかける必要のある食材です。
忙しい現代の生活で、「自宅でゆっくり豆を炊いている時間なんかないよ!」とお嘆きの方もいらっしゃるのでは?
「ふっくらツヤツヤの煮豆にして食べたい!」という場合なら、一晩水につけてコトコト炊いて…と時間をかけて調理した方がおいしく、キレイに仕上がります。
でも、豆が主役ではない料理に使うなら、時短調理で戻した豆でもおいしく食べられますよ☆
やり方はとっても簡単です。
洗った豆を熱湯に1時間浸すだけです(古い豆は少し時間を長くするとうまくいきます)。
温度が下がりすぎないように、蓋つきの鍋でとろ火にかけながら行うとよいですね。
保温性の高い土鍋だとより失敗しにくくなります。
スープやサラダの具にしたり、ペーストに使ったりするなら、この方法でも十分おいしく仕上がります。
また、現在は水煮であったり、冷凍されていたりと、準備に手間のかからない状態まで下ごしらえが済んだ製品も多数販売されています。
下ごしらえが面倒くさいからつい食べなくなってしまった…という事態を避けるために、こうした商品から試してみるのも検討の余地アリです。
味つけをしていない戻し豆は傷みやすいですが、これらの商品は開封しなければ比較的長めに保存できる点もよいところです。
慣れてきたら乾物の豆を戻すのにチャレンジして、用途に合わせて自分好みの戻し加減に調整してみましょう☆
現代の食生活に不足がちな栄養素を豊富に含む豆類。
ちょっと敷居が高そうに見えますが、実際には鍋と水だけあればふっくらした状態に戻せます。
汁物やサラダと相性がよく、一度戻してしまえばさまざまな料理に合わせることができるので、ぜひぜひ使ってみてあげて下さいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター