ひと振りで爽やか、レモンを余すことなく活用しよう!

揚げ物には必ずといっていいほど添えられている「レモン」
サッとひと振りするだけで、脂っこい食べ物でも口の中がさっぱりしますよね。
今ではすっかり日本人の食卓になじんだレモンですが、栄養の面でも優れた存在なのです☆

【補給源としては十分!】

「レモンといえばビタミンCのイメージが強いけど、キウイの方が多いよね?」
確かに、ビタミンCの含有量だけを比較すると、レモンよりもキウイやアセロラの方が多いのです
また、レモンはそのまま食べるには酸が強すぎる果物なので、一回で食べられている量は少ない傾向にあります。
したがって、柿やいちごを食べた方が結果的に多くのビタミンCを摂取している可能性も十分あります。
ですが、ビタミンCは体の中で常に使われ続けている栄養素でありながら、使い切れなかった場合は体の中に溜めずに排泄されてしまいます。
このため、いちどにたくさんの量を摂ってもあまり意味が無いということになります。
(過剰摂取で体に異常を起こす心配もほぼありませんが)
つまり、ビタミンCはこまめな補給が大事な栄養素
少量ずつ使うレモン果汁は、補給源として十分な役目を果たしてくれます。
ビタミンCはストレスの多い人ほどしっかり摂る必要がある栄養素だと言われているので、より「こまめ摂取」を心掛けるとよいでしょう。
そして、レモンにはビタミンCと双璧を成す栄養素、クエン酸が含まれています。
このクエン酸はレモンの酸味のもとで、鉄などのミネラルを吸収しやすい形にしてくれます。
また、抗酸化作用に優れているので、生活習慣病の予防効果が期待できます。
ストレスにさらされて体調を崩すリスクの多い現代人にとって、レモンはとっても理にかなった存在といえます。


【レモンピールと輸入レモンの悲喜こもごも

レモンの皮は基本的に捨ててしまうことが多いのですが、実は、その皮に見逃せない栄養素が含まれています。
代表的な成分が、レモンの香気成分であるリモネンで、レモンの爽やかな香りはこのリモネンに由来しています。
お菓子作りなどでレモンの風味をつける時は、レモン果汁だけではなくレモンピールを使用していますが、これは皮にこそレモンの風味が凝縮されているからなのですね。
リモネンは抗酸化作用、リラックス効果、安眠効果などが期待できるなど、これまたストレスと戦う現代人にとって役立つ働きをしてくれる存在なのですが、注意しなければならない点もあります。
それは、輸入品のレモンには防カビ剤が添加されていることです。
どれだけ皮の効果が素晴らしくても、体の中に直接それらを取り込んでしまうのは良いことではありません。
現在の日本では流通しているレモンの大半が輸入品であるため、皮を利用する場合は国産品の無農薬のものを選ぶ必要があります
国産品を中心にできるように生産量を増やせばいいのでは…と簡単に考えてしまいがちですが、そもそもレモンは寒さに非常に弱い果物で、気温がマイナスを記録する地域での栽培は難しい果物です。
この耐寒性の低さが原因で、国内では西日本の温かい地域でしか生産されていません。
残念ながら、日本の土地との相性はよくない果物で、需要を満たすためには輸入に頼らざるを得ないのが現実なのですね。

現代日本においては、レモンはとっても身近な存在です。
お肉を漬け込むと保水性が高まってやわらかくジューシーに仕上がりますし、余らせてしまった果汁や果皮はまな板の洗浄に使うとクエン酸の殺菌効果で臭みが軽減されます。
そして、ひと振りかければ料理の風味がぐっと引き締まるので、常にストックされている方もいます。
栄養面でも優れた存在なので、ちょっと一振り、こまめな補給と覚えておくといいかもしれませんね☆

Text by はむこ/食育インストラクター