海にはいないくらげ!きくらげの秘密

海にはいないくらげ!きくらげの秘密

小さな頃、ゼラチンのようにぷよぷよしたきくらげは海の生き物だと思いこんでいました。
なにしろ名前にクラゲとついているので、クラゲの仲間の一種で、あの姿のまま海中を泳いでいるものだとばかり…
木の根元に生えている写真を図鑑で見た時には幼心に衝撃が走ったのを覚えています。
今回はそんな「きくらげ」のお話です。

【陸にいるクラゲだからきくらげ

きくらげの名前の由来はそのまんま「木のクラゲ」からだとされています。
一方、漢字ではクラゲを思わせる要素は無く「木耳」と書きます。
この表記は中国から来たもので、昔の中国では耳に似ていると考えられていたようです。
確かに、肉厚の生きくらげを触ってみると、耳たぶの柔らかさと軟骨を合わせたような感触がしますし、形も耳のような凹凸の形をしているものが多いので、そのような字を当てられたのも納得ですね。
ちなみに、きくらげはヨーロッパにも自生していて、やはり耳をイメージする名前で呼ばれているのだそうです。
ただし、食べられるものとしては考えられていないそうで、「ユダの耳」と呼ばれて悪い印象のあるキノコの一種として扱われることさえあるのだとか!
「せっかくの原木きくらげを食べないなんて勿体ない!」とついつい思ってしまうのですが、これが東西の文化の違いなのでしょう。


【きくらげと血をめぐるあれこれ

きのこの栄養というと、低エネルギーでダイエット食に引っ張りだこだったり、食物繊維で便秘解消あたりがメジャーどころでしょうか。
きくらげはもちろんその2つを兼ね備えているのですが、それ以外にも大活躍するきのこなのです。
例えば、きくらげは薬膳の世界では血をきれいにすると言われていますが、栄養学の面から考えても理にかなっています。
その理由はきのこ類の中でもダントツの鉄分量
血液を作るのに欠かせない鉄は、不足すると様々な身体の不調を招く原因になるのですが、きくらげはその補給源として優れた食材なのです。
きくらげに含まれる鉄は体に吸収されにくい鉄なので、その吸収率を高めるビタミンCも併せてとりたいところです。
ビタミンCはパプリカやブロッコリーなどの野菜に豊富に含まれているので、野菜をたっぷり使った中華風の炒め物にきくらげが入っているのは、栄養面でも優れた組み合わせと言えます!

乾燥したものなら一年中手に入るのが魅力のきくらげ。
炒め物やスープなど、様々な料理に使えるので、どんどん活用してみてくださいね!

Text by はむこ/食育インストラクター