皆さんご存知の通り、寒天は低カロリーでダイエットに効果的な食材として重宝されています。
今回は、寒天のルーツや栄養についてお話ししていきます。
【寒天の原料って何?】
寒天は、天草(テングサ)やオゴノリという紅藻類の海藻から作られています。
その成分のほとんどが食物繊維で、あらゆる食品の中でもトップレベルの食物繊維含有量を誇っています!
寒天はゼラチンとは異なり温度変化に強い性質なので、水ようかんや杏仁豆腐などの常温で販売可能な菓子の材料としても使われています。
【健康な体作りをサポートしてくれる寒天】
豊富に含まれる食物繊維は、腸内で水分を含んで膨らむ性質があります。
これにより、少量でも満腹感が得られる他、便の量を増やしたり便通のリズムを整える効果があります。
その他、コレステロールや血糖値の低下、メタボリックシンドロームの改善などにも役立つとされています。
【寒天のルーツを紐解く!】
●ところてんが凍った!
江戸時代、京都の旅館「美濃屋」の主人 美濃屋太郎左衛門が、ところてんを外に出しておいたところ、冬の寒さで凍り、自然乾燥の状態になりました。
これを見つけた太郎左衛門のひらめきによって寒天の製法が編み出され、和菓子の原料として年々改良され発展してきました。
●“寒天”と命名
太郎左衛門は、京都の萬福寺の開祖だった隠元禅師のもとへ乾燥させたところてんを持参し、試食してもらいました。
隠元禅師は、「仏家の食用として清浄これにまさるものなし」と称賛しました。
そして、太郎左衛門からところてんが出来た経緯を聞き、①「寒ざらしのところてん」から“寒天”②「寒い空の下で作る」ところから「寒い天の下で作る」となり“寒天”と名付けた、と考えられています。
●信州で広まる!
関西地方で発明された寒天は、信州の行商人 小林粂左衛門(くめざえもん)の手で、寒さが厳しく空気の乾いている諏訪地方の農家の副業として伝えられました。
その後、角寒天というユニークな形態をつくり、気候風土を活かした地場産業として注目されてきました。
現在では各種食品をはじめ、化粧品や医薬品などに用途が広がっています。
病院などでは、ゼリー状に固め、食材の味や彩りを引き立ててくれる寒天の特長を活かし、お茶などの水分補給やミキサー食の型どり(立体的な盛り付け)に利用されています。
皆さんも不足しがちな食物繊維を豊富に含む寒天を、食生活の中にとり入れてみてはいかがでしょうか?
Text by ろい/食育インストラクター