「古事記」や「日本書紀」にも登場しているほど、古くから日本人に愛されている柿。
その美味しさはもちろんのこと、「柿が赤くなると 医者が青くなる」ということわざがあるほど、栄養成分が豊富なのも魅力です。
今回は代表的な秋の味覚「柿」についてのお話です。
【甘柿と渋柿の違いは何?】
その数1000種以上あるとされている柿は、大きく分けて「甘柿」と「渋柿」に分けられます。
渋みのもとになっているのは「タンニン」という成分ですが、実は、甘柿、渋柿どちらにも同じ位の量が含まれているのです。
では、なぜ甘柿は渋柿と違って食べた時に渋みを感じないのでしょうか?
それは、タンニンが「水溶性」であるか、「不溶性」であるかの違いによります。
渋柿に含まれる水溶性タンニンは口に入れると溶け出して渋く感じますが、甘柿は成長の過程で水溶性タンニンが不溶性に変わり、口の中で溶けなくなるので渋みを感じなくなるのです。
渋柿は熟しても不溶性になりにくいため、ドライアイスやアルコールを使って水溶性のタンニンを不溶性にする「渋抜き」という作業をすることで、美味しく頂くことが出来ます。
また、干し柿にしても渋みは自然に抜けて行きます。
【おいしい柿の見分け方と保存方法】
ヘタが果実に張り付くように隙間なく4枚揃っていて、なるべく緑色が残っているもの、果実全体が濃いオレンジ色でツヤがあるものを選ぶと良いでしょう。
また、手に持った時にずっしりと重みを感じ、形が整っているものが良品とされています。
常温だとすぐにやわらかくなってしまうので、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
熟し過ぎてしまったものは、そのまま冷凍庫に入れ、シャーベットの様にして食べるのがおすすめです。
【美肌づくりから二日酔いにも!?柿の効能】
果物の中でもトップクラスと言われるほど「ビタミンC」が豊富で、免疫力を高めたり、コラーゲン生成に働き、風邪の予防や美肌づくりに役立ちます。
また、オレンジ色の果肉には、抗酸化作用のある「β-カロテン」のほか、同じカロテノイドの一種である「β-クリプトキサンチン」が多く含まれています。
どちらも体を守る抗酸化成分ですが、β-クリプトキサンチンはβ-カロテンよりも高い抗酸化力があるうえ、糖尿病や骨粗しょう症の予防にも効果的です。
さらに、β-クリプトキサンチンとビタミンCの相乗効果で抗酸化パワーがアップし、がん予防にも効果が期待出来ます。
渋みのもと「タンニン」には、アルコールを分解する働きがあり、二日酔い予防にも良いとされています。
干し柿にすると、ビタミンCは減ってしまいますが、β-カロテンやカリウム、食物繊維は生よりも増加します。
そのまま食べたり、ジャムやお菓子にして食べるのも良いですが、白和えやなます等、お食事として頂くのもおすすめです。
美味しいだけでなく、栄養効果をアップさせたいのなら、白和えにすりごまを加えてみましょう。
ごまに多く含まれるビタミンEが柿のビタミンCの働きをパワーアップさせてくれます。
今しか味わえない旬の柿をおいしく頂きましょう!!
Text by まち/食育インストラクター