かぶは「日本書紀」や「古事記」にも記されている歴史深い食材です。
優しい甘味と柔らかい食感が魅力の野菜ですが、今回はあえて白い「根」の部分ではなく、「葉」にスポットを当ててお話ししていきたいと思います。
【1つの野菜だけど、根と葉は別物?】
かぶは、根と葉で栄養成分や分類が異なります。
<根>
淡色野菜で、ビタミンCや消化酵素のアミラーゼを含んでいます。
アミラーゼは、胸やけや食べ過ぎの不快感を取り除く作用や整腸作用があります。
これらを効率良く摂取するには、生のままサラダや和え物にして食べるのがおすすめ です。
<葉>
緑黄色野菜で、意外にも根よりも栄養が豊富です。
β‐カロテン、ビタミンC、カルシウムなどを含んでいます。
【葉を捨てるなんて、もったいない!(>_<)】
葉はビタミン・ミネラルの宝庫と呼べる程、栄養が詰まっています。
アクが少なく、そのまますぐに料理に使えるのも嬉しいポイント。
もう1品欲しい時などにも使える部分なので、捨てずに美味しく食べちゃいましょう!
●葉に含まれる栄養
葉の部分にはビタミンCだけでなく免疫力を高め、肌を乾燥から守るβ-カロテン、疲労回復に効果的なビタミンB1、皮膚や粘膜を正常に保つビタミンB2、骨や歯を強くし、骨粗しょう症を予防するカルシウム、貧血を予防する葉酸や鉄分などが多く含まれています。
なかでも葉酸は「造血のビタミン」とも呼ばれ、造血や細胞の生まれ変わりに関わり、胎児の発育に必要不可欠な成分であると考えられています。
胎児が発育する妊娠中の女性や、乳幼児期・成長期の子どもに特に必要な栄養素とされ、厚生労働省では妊娠中は妊娠していない時の約2倍量の葉酸の摂取を推奨しています。
また、血液の流れを良くするナイアシンという成分が含まれているので冷え性の方にもオススメです。
葉は根の部分よりも栄養価が高く、カルシウムは根の部分の約10倍、ビタミンCは約4倍も多く含まれています。
【葉の栄養を余すことなく摂るには?】
オススメの調理法は、炒める・揚げるor汁物!
葉に含まれているβ-カロテンは、油脂と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
ビタミンCは水に溶け出してしまう性質があるので、汁物にすると効率良く摂る事ができます。
また、ビタミンCは乳製品などに含まれているカルシウムと一緒に摂ることで、イライラやストレスの緩和に役立ちます。
細かく刻んだ葉をじゃこやゴマと一緒にサッと油で炒めてふりかけにしたり、ベーコンや鶏肉などの具材と一緒にミルクスープなどにするのも良いですね!
【葉付きのかぶを買ったら、そのまま冷蔵庫はNG!?】
皆さんはかぶを買ってきたら、どのように保存していますか?
実は、葉が付いたまま冷蔵庫で保存するのはあまりおすすめ出来ません…。
葉付きのかぶはそのままにしておくと、根の水分を葉が吸い上げて旨味がなくなったり、すが入ってしまう事があるからです。
買ったらまず葉を切り落とし、白い根の部分はポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
この時、茎を少し残しておくと、切り口から乾燥しにくく、鮮度が持ちますよ。
鮮度が落ちやすい葉は、茹でて冷蔵または冷凍保存し、炒め物や煮物の彩り、汁の実などに活用しましょう。
塩を加えた熱湯で30秒程茹で冷水に取り、水気を絞って保存容器に入れれば、冷蔵で2~3日、冷凍で1ヶ月程保存出来ます。
春の七草の「スズナ」として古くから愛されてきた、かぶ。
アクが少なくお子様も食べやすい食材なので、是非ご家庭でも使ってみてください。
Text by ろい/食育インストラクター