今回はお店で注文する際にちょっと役立つ味やタイプについてご紹介します。
【辛口甘口】
日本酒の用語でよく「辛口」・「甘口」という言葉を耳にしますが、どういったものなのでしょうか。
辛口だからといって唐辛子のような刺激があるわけでもなく、甘口だからといってお菓子のような甘さがあるわけではありませんよね。
日本酒でいう辛口とは甘さの少ない酒のことを指します。
また刺激的な味だったり、苦味や酸味の強いものも辛口に分類されます。
甘口の日本酒は辛口の逆というわけですね。
では次にラベルなどによく書かれている日本酒の味を知るヒントとなる3つをご紹介します。
【日本酒度】
日本酒と水の重さを比較したもので、日本酒度専用の浮秤を使って測定します。
シリンダーの中に約15℃にした日本酒を準備し、浮秤を浮かべます。
液面のメモリの位置がプラスなら辛口、マイナスなら甘口であるといわれています。
日本酒に含まれる糖分が少ないと比重が軽くなることから浮秤が沈んでメモリがプラスになります。
逆に含まれる糖分が多いと比重が重くなることから浮秤が浮き、メモリがマイナスになります。
【酸度】
日本酒にはコハク酸やリンゴ酸などといった酸が含まれており、うま味を感じさせたり日本酒の味を引き締まったものにしてくれる働きがあります。
酸度が高いほどキレのある辛めの飲み口になり、低いと柔らかな甘みをもたらします。
同じ日本酒度の酒でもこの酸度によって辛さなどに違いが出てくるといわれています。
【アミノ酸度】
アミノ酸類は私達が感じるうま味に関わるものですが、実は日本酒にも含まれておりその種類は20種類位です。
原料の米にはたんぱく質が含まれていて、発酵の過程で分解されアミノ酸が生じます。
米を使う量が多い日本酒ほどこのアミノ酸度が高くなります。
アミノ酸は含有量が多いとコクを与え、少ないと口当たりの軽いさっぱりとした飲み口になります。
ですが多ければよいわけではなく、多すぎると味に雑味が生じる原因にもなるそうです。
先程米を使う量が多いとアミノ酸が多いと書きましたが、たんぱく質は米の表面に多いので表面をたくさん削り取って仕込むようなタイプのものは米をたくさん使っていてもアミノ酸度は低い場合が多いようです。
上記に挙げた項目を知っていると、日本酒の味がどんなものかなんとなく想像できるのではないかと思います。
しかし、日本酒は奥の深い飲み物。
日本酒度がプラスだから絶対辛口!マイナスだから甘口だ!というわけではなく色々な諸条件によっても変わってくると覚えておいて下さい。
【タイプに合わせた飲み方】
日本酒には熱燗に向くものと冷酒にした方が美味しいものがありますね。
もちろん好みもあるので全ての人に当てはまるわけではありませんが、タイプにあった飲み方などを簡単にご紹介します。
●熱燗に向く酒
一般に温めて飲むと美味しさが増すといわれている日本酒はコクのあるものです。
このコクは原料である米の持つ香りが関係しています。
表面をあまり削らずに仕込むと米本来の香りが強くなるため、コクも感じやすくなります。
無ろ過のものや、純米酒、生酛タイプのものにコクの深いものが多いです。
●冷酒に向く酒
冷たい状態で美味しくいただけるものとしては精米歩合が低い酒が向くといわれています。
米の表面をたくさん削って仕込んでいるようなさっぱりとした口当たりのものが当てはまります。
香り高いものや吟醸酒などが挙げられます。
●知っておくといい4タイプ
だいたいの味のイメージは分かっても、どのような温度帯で飲むのがいいのかなぁと迷うこと…ありますよね。
もちろん決まりはないので自分の好みにあった飲み方や温度帯でいいのですが、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(通称SSI)というところが提案しているタイプ別の分類があるのでご紹介します。
(今回は簡易的にまとめてご紹介しますが、興味のある方は日本酒の本やSSIのH.P.などを見ていただくとさらに詳しく載っていますので参考にしてみて下さいね。)
○熟酒(じゅくしゅ)タイプ
主に古酒などの長期間熟成したものが多く、酸味や甘味などのバランスも良いのが特徴です。
香りも熟成によってまとまった感じがあります。
味・香り共に4つのタイプの中で最も濃く、高いタイプになります。
スパイスやドライフルーツのような香りがすることが多いです。
香りが立つ温度帯としては25~30℃・35℃位とされています。
○醇酒(じゅんしゅ)タイプ
熟酒に次いで濃厚な味わいと穏やかで落ち着いた香りが特徴です。
山廃や生酛などの純米酒に多いタイプで米本来の味や香りが楽しめます。
香りが立つ温度帯としては、15~18℃・40~55℃と常温でも燗につけても美味しくいただける日本酒です。
○薫酒(くんしゅ)タイプ
純米大吟醸や大吟醸などが当てはまります。
ハーブや果物などを連想させ、華やいだ香りが楽しめるタイプです。
飲み口としてはさっぱりとしているものが多く、香りが立つ温度帯も10℃前後と冷酒で飲むのに適した日本酒です。
このタイプは果物のような香りがするため、海外の方にも人気なのだそうですよ。
○爽酒(そうしゅ)タイプ
ライムやレモンといった爽やかな香りを感じることが多く、吟醸酒や低アルコールのもの、生詰酒・生酒など最も多くの日本酒が当てはまります。
気軽に楽しめるのもこのタイプの魅力なので日本酒初心者の方にもおすすめですね。
香りの立つ温度帯は5~10℃と薫酒よりも若干低めです。
いかがでしたか。
少し難しい用語などもありますが、日本酒は私達の国が独自に築き上げたものです。
和食だけでなく、中華や西洋料理といった世界中の料理とのコラボレーションも楽しんでみてはいかがでしょうか。
意外な発見があるかもしれませんよ!
Text by さゆり/食育インストラクター