ジャムの歴史は非常に古く、なんと今から1万~1万5千年前の旧石器時代後期までさかのぼります。
人類がミツバチの巣から蜜を取っている風景が、スペインのアラニア洞窟で発見され、その蜜を使って果実を土器で煮た跡が見つかったそうです。
これが、現在のジャムの起源であるとされています。
今回は、そんな歴史ある「ジャム」についてのお話です。
【日本で作られた初めてのジャムは?】
明治10年、東京の新宿にあった勧農局(明治時代の内務省)で、日本で初めてのイチゴジャムが試売されたそうです。
企業としての始まりは、その4年後、1881年(明治14年)のことで、長野県出身の塩川伊一郎氏により缶詰のイチゴジャムがつくられました。
塩川氏は、日本でのモモ栽培を普及させた先駆者でもあり、モモを使った缶詰加工工場なども手がけられていました。
当時、長野では、野イチゴをおやきのようにして食べていたこと、西洋風の文化が入ってきたことなどから、イチゴの加工も手がけるようになったようです。
【日本のジャムは世界ではジャムと呼べない?!】
いまや日本では主流となっている、甘さ控えめで食べやすい低糖度ジャム。
国際食品規格(CODEX)で比較すると、糖度が65%以上であることが条件の一つとなっていますが、日本農林規格(JAS)では糖度40%以上とされ、低糖度であってもジャムとして販売されています。
砂糖だけを使った高糖度のジャムを高品位とする時代から、甘さ離れの嗜好にチェンジし、技術的にペクチンをうまく利用することによって、低糖度のジャムを製造することができるようになりました。
これは日本の工場が徹底した衛生管理を行い、各家庭に冷蔵庫が普及していることから実現可能となっています。
日本の低糖度ジャムは、まさに「ジャムの進化形」ともいえるのです!
【ジャムのとろみはどうしてつくの?】
「ペクチン」「糖」「酸」の3条件がそろうことで、ジャム特有のとろみがうまれます。
ペクチンとは、果実や野菜などに含まれる食物繊維の一種で、細胞同士をつなぎあわせる働きをします。
ジャムのとろみのもとは、このペクチンによるもの。
ペクチンは加熱すると溶け始めますが、このとき砂糖は持ち前の吸水性を発揮して、ペクチンの水分を吸収して抱え込みます。
するとペクチンの組織が編み目状に変化し、ゼリー状になるのです。
この現象は、酸が一緒にあるとよく進みます。
ペクチンや酸の含有量はフルーツによって違うので、足りない成分を上手に補うのがコツです。
【高い保存性は砂糖のおかげ】
ジャムは、保存性に優れた食品として知られていますが、この保存性は、砂糖には抱え込んだ水分をなかなか放さないという性質があるために、微生物が細胞の水分を奪われて活動できなくなることによるものです。
砂糖をたっぷり使ったジャムや砂糖漬が腐りにくいのはこのためです。
今ではさまざまな形状のジャム、野菜や花弁のジャムなどが売られています。
旬のフルーツや野菜などを使ったジャムを作り、季節を味わったり、またプレゼントをしたりと、楽しんでみてはいかがでしょうか。
Text by ナナちゃん/食育インストラクター