墨におけない!「イカスミ」

墨におけない!「イカスミ」

イカスミといえば、パスタやリゾットを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
アノ真っ黒でうま味が凝縮した「イカスミ」には驚くべきパワーがありました!

【イカを漢字で「烏賊」と書くワケ】

中国の古い物語より、「あるときイカが海面で休んでいると、烏(カラス)が飛んできました。烏はイカが死んでいると思い、捕らえて食べようと海面に向かい降りていきます。しかし、イカは急降下してきた烏を捕まえ、海面に引き入れたのです。そしてイカは烏を食べてしまった」という話から、「烏賊」と書き表されるようになったそうです。

【イカとタコの墨のちがい】

イカもタコも、敵から襲われたときに、逃れるために墨を吐き出します。
どちらも同じように思われがちですが、効果に違いがあります。
イカスミには粘液が多く含まれるため、海中で自分の大きさくらいのかたまりとなり、「分身」となってくれます。
また、うま味成分も含まれるため、敵が分身を襲っている間に逃げる、というワケ。
タコスミは粘度が低いため、吐き出されるとすぐさま広がり、「煙幕」のような役割をして視界を遮るのです。
また、タコスミはうま味成分がほとんどなく、安全性の観点からみても食用には向きません。


【イカスミには抗がん作用がある?!】

イカスミが海中で拡散することなくイカのようなかたちを保っていられるのは、ムコ多糖類が含まれているためです。
ムコ多糖にはコンドロイチンやヒアルロン酸などがあり、関節をなめらかに動かすための潤滑油の役目をしている物質です。
最近ではサプリメントなどでよく目にすることも多いかと思います。
ムコ多糖は体内で細胞や臓器を保護するさまざまな機能が知られており、免疫力を強化する作用もあるのではないかと考えられています。
1990年には、ムコ多糖類には抗ガン作用があると学会で立証され、大変話題になりました。

【沖縄で食べられているイカスミ汁】

真っ黒な見た目が印象的なスープ、「イカスミ汁」をご存知でしょうか?
沖縄では、イカスミは頭痛や肩こり、産後の回復に良いとされ、薬膳料理として食べられています
イカの甘みと、スミの濃厚な味わいが美味しいことから食堂などでも並ぶ、郷土料理です。
イカスミ汁は、カツオと昆布の出汁で豚肉を煮込み、イカスミを入れて仕上げ、ニガナと呼ばれる葉物野菜なども加えます。

みなさんいかがでしたか?
私は沖縄に行ったら必ず食べたいもののひとつです。
イカスミはおいしいだけでなく、カラダにもよい効果があるとは驚きですね!
また、写真加工でみかける黒褐色の「セピア」。
これはイカスミの黒い色素の名前からきているそうですよ。

Text by ナナちゃん/食育インストラクター