保存食を見直そう!その①「ジャム」

保存食の味というと、極端に甘かったり塩辛かったりといったものが思い浮かぶのではないでしょうか。
長持ちさせるためとはいえ、薄味・減塩を気にする現代にあっては、体に悪そうだと敬遠する方もいらっしゃるほどです。
そんな保存食の価値を改めて見直そう!
ということで、今回から不定期更新で、保存食シリーズをお送り致します!
初回となる今回のテーマは、朝食やティータイムでおなじみの「ジャム」についてお話します!

【古いようで浅い?その歴史】

起源については諸説あるものの、ジャムは新鮮な果物が手に入りにくい季節に楽しまれてきた存在でした。
ただし、砂糖の大量生産が可能になる近代に入るまで、ジャムを楽しめたのは上流階級の人間だけで、一般庶民には手の届かない存在だったのです。
イギリスのアフタヌーンティーではきゅうりのサンドイッチを客人に提供することが財力を示すバロメーターでしたが、スコーンに塗るジャムも同じく高級品でした。
だからこそ、貴族のおもてなしに使われたということなのでしょう。


【余って困ったその時には…】

そんな歴史を持つジャムでしたが、現代日本の一般家庭では持てあますこともしばしば…。
それは、日本でのジャムの製造は明治時代にまでさかのぼりますが、本格的に普及したのは戦後のパン給食によるところが大きく、まだ歴史が浅いこと。
そして、ジャムは日本人の主食であるご飯との相性があまりよくない点が挙げられます。
食生活の欧米化が顕著になった今でも、「ご飯にジャムをかけておかずにしています!」という方はなかなか見かけませんよね…。
一度に食べる量がそれほど多くない上に、毎日食べるのはちょっとつらい。
使い切れないまま冷蔵庫の中で傷んでしまったという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
トーストに塗って使うだけでは、なかなか消費しきれないのも無理はありません。
そんな時は、調味料として使ってみてはいかがでしょう?

●マーマレード
柑橘系の皮を使って作るので、香気成分を無駄なく利用しているところがポイントです。
フレッシュな果汁や果皮ほど主張が強くないため、料理のメインとなる食材の個性を生かすことができます。
肉や魚の臭みを抑えてくれるのもよい点のひとつですね。
ソースや下味などに合わせやすいので、ジャムのなかでも使い勝手のよい存在です。

●ベリー系ジャム
甘くて芳醇な香りのベリー系ジャムは、料理の脇役として使うには少し主張が強いものです。
この特徴を最大限生かす調理となると、やはりデザートやドリンクになるでしょう。
ベリーを使ったデザートはさまざまな種類がありますが、ドリンクも多彩なアレンジが可能です。
夏には炭酸水に溶かしたり、冬の寒い日はホットミルクや紅茶に加えてロシアンティー風にと、オールシーズンで楽しむ方法がありますよ☆

●その他のジャム
特徴的な香りや酸味を持つキウイやマンゴーのジャムは、ドレッシングなどに隠し味で加えると爽やかな果実の風味が加わり、深みが増します。
カレーの隠し味などに少量加えてみるのもおススメです。
肉料理との相性も悪くないのでソースなどにも利用できますが、肉をつけ込むとやわらかくする働きのあるキウイやパイナップルは、加熱時に酵素の働きが失われてしまうので、ジャムにするとその効力を得られません。

スコーンやトーストなどで使い切れるのなら無理に料理に使う必要はありませんが、たまにはちょっと変わった風味を料理に加えてみるのも面白いですよ☆
フルーツ由来の甘味や酸味を、上手に生かしてみてくださいませ!

Text by はむこ/食育インストラクター