気温も上がって少し汗ばむ初夏の頃は、童謡の中で歌われている茶摘みの時期でもあります。
日本人にとっては馴染み深い飲み物である「緑茶」。
手軽なペットボトルのお茶が普及した今、自宅でお茶を淹れる習慣の無い方も増え、茶葉に触れる機会が少なくなっているそうです。
今回はそんな身近であって遠くなった、緑茶のお話です。
【お茶の旬??】
童謡の「茶摘」で歌われている八十八夜は、立春から数えて88日目を指す言葉です。
現在では5月2日前後を指し、この頃から寒さがほとんど無くなることから、農作業の移り変わりの目安として数えられていました。
その中の1つが茶摘みなんですね。
この八十八夜の頃に摘まれた茶の新芽が、新茶と呼ばれているものです。
その年の気候によって大きく左右されますが、実際に八十八夜に合わせて茶摘みを行うのは比較的暖かい気候の西日本で、関東以北ではもう少し日を置くため5月中旬頃から出回ることが多いようです。
ちなみに、1度摘んだ茶葉は40~50日ほどでまた新芽が出るため、夏に入った頃にはまた茶葉が出回ります。
新茶は明確に定義されているわけではないので、八十八夜頃、つまり、その年の初めに採れたものだけを新茶と呼んでいることもあれば、摘んでから日の浅い茶葉を新茶と呼ぶこともあります。
「店頭に新茶と書かれた茶葉がいつも並んでいるような気がする……?」と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、これは摘まれて日の浅い茶葉の新茶を指しているからなんですよ。
【カテキンか、美味しさか…!?】
緑茶といえば真っ先にあがるのがカテキンです。
ポリフェノールの一種で抗酸化作用が高いため、免疫力を高めたり風邪予防にも効果があると言われています。
このカテキン、実はその年初めの新茶である一番茶より、夏頃に摘む二番茶の方が含有量が高いと言われています。
ただし、カテキンはお茶の渋みのもとでもあるため、あまり多いとお茶の味が落ちてしまいかねないそうです。
一番茶はというと、それ以降に摘んだ葉に比べてうま味成分のテアニンが多いため、最も美味しいお茶を淹れるにはこちらだと言われています。
もちろん、一番茶にもカテキンは豊富に含まれているので、美味しく身体にもいいことに変わりはありません。
最終的には好みの問題にもなるのですが、味は一番茶、栄養は二番茶と覚えておいても損はないかもしれません。
ちなみに、今の時期に出回っているのは一番茶がほとんどですが、もう少し待てば二番茶も出回ります。
この季節ならではの飲み比べも楽しめるので、緑茶フリークの方は試してみてはいかがでしょうか?
Text by はむこ/食育インストラクター