苦い方が珍しい!?ピーマンあれこれ

苦い方が珍しい!?ピーマンあれこれ

ハウス栽培の環境が整っていることもあって、通年手に入りやすい野菜のひとつ、ピーマン。
しかし、嫌いな野菜の代名詞として名高い(!)存在でもあります。
今回はピーマンの苦みと青臭さ…克服のための豆知識と、緑のピーマンの謎に迫ります。

【みんなの強敵!?】

食べる前から漂う青臭さと強烈な苦味…この二大巨頭(?)がタッグを組んでしまうと、ピーマンのみならず、緑の野菜全体にマイナスイメージを抱いてしまいかねない強烈な味になります。
“食べ物の好き嫌いには嗅覚が関わっていることが多いから、嫌いな食べ物は鼻をつまんで食べるとよい”という話を聞いたことはありませんか?
味覚と嗅覚の関係上、これはとても理にかなった方法なのですが、青臭さは防げても、ピーマンの苦みは防げません。
反対に、ピーマンの苦みをとるために塩もみにしても…あの独特な苦味を完全に除去するには至らないばかりか、青臭さはそのままで食べられなかった!などなど、一度嫌いになってしまうと克服が難しい強敵ぶりが、ピーマンが好き嫌いの代名詞である理由なのかも…!?

【急がば回れ!?緑ピーマンを攻略しよう】

昨今は品種改良も進み、ピーマンの苦味は従来よりもかなり抑えられています。
でも、ピーマンの苦みは(食べられる人にとっては)おいしさや魅力につながる要素のひとつですし、ピーマンの青臭さのもとであるピラジンは血液サラサラ効果もあるので、これらを全部除去してしまうのは栄養の観点から見てももったいないですよね。
ピラジンは油脂に溶けやすい性質があるので、油を使った調理なら青臭さを抑えることが出来ますし、縦に切ると繊維が壊れにくいので臭み予防になります。
それから、ちょっと時間はかかりますが追熟させてしまうのも方法のひとつです。
これなら調理方法も制限されないというメリットもあります。
また、ピーマンと聞いて思い浮かべるのはまず緑色だと思いますが、この緑のピーマンは未成熟果、つまり熟していないピーマンなのです。
熟したピーマンの色は赤や黄色で、この色になると青臭さや苦味はほとんどありません
加えて、ビタミンCやβ‐カロテンの含有量も増えるのです!

いいこと尽くめのように思えますが、熟したピーマンは生育に時間がかかるうえに日持ちがしない。
つまり流通に向く野菜ではないため、緑の状態で収穫するのだそう。
それにしてもわざわざ苦くて食べにくい状態のものを出荷しているなんて、身近な存在なのにとっても珍しい野菜ですね。
そうやって売られていることもあり、ピーマン=緑色という先入観のままに挑めば、苦くて臭い思いをするのは避けられませんし、余計に嫌いになってしまうかも…!?
ここはまず赤や黄色のピーマンから始め、次に追熟させて少し苦味や臭みを抑えた緑のピーマン…と、段階を踏んで攻略してみてはいかがでしょう?
すこし回り道に感じるかもしれませんが、無理に嫌いな味を食べて、食事を不快な時間にしてしまうことを避けられます。

苦味は食べられるまでに経験が必要な味覚です。
裏を返せば、食べ慣れてしまえばおそれる相手ではない(!)ので、慣れたころに食べると「小さいころは嫌いだったけど、なんであんなに嫌だったんだろう?」とあっさり食べられるようになっていることも珍しくありません☆
子どものころからピーマン嫌いでずっと口にしていない方も、大きくなってから食べてみたら意外と平気になっている、かも?


【ピーマンを保存しよう】

ピーマンの追熟は時間がかかります。
開花から20日程度で収穫できる緑ピーマンに対し、赤・黄のピーマンは開花から60日程度の時間が必要です。
単純計算で40日は追熟させないといけない(※個体差はあります)のは手間ですよね。
鮮度の関係もありますし、家庭菜園を行っているのではないなら、カラーピーマンを食べたい時は素直に購入した方がよいです。
目的があって追熟させたい場合は、ポリ袋にりんごなどのエチレンガスを放出する野菜と一緒に入れて保存すると期間を早めることができます(ピーマンからもエチレンガスは放出されています)。
1日ごとに様子を見ながら、水滴がついているようならふき取ってあげると、傷みや腐敗を抑えられます。
追熟しない場合は、種とワタを除いて小分けにラップに包んで冷蔵庫へ。
比較的長持ちする野菜ですが、鮮度がよい方がシャキシャキしておいしいので、早めに食べきるようにしましょう。

ちなみに、ピーマンは自宅で育てやすい野菜のひとつです。
プランターでも育てられるので、生育条件に気をつければベランダでも栽培できます。
10月くらいまでは収穫できるので、苗を購入して育てれば、夏の内に自家栽培ピーマンが食べられるかも…!?

ぜひお試しくださいませ☆

Text by はむこ/食育インストラクター