「フォアグラ」は、トリュフ・キャビアとともに世界三大珍味として有名な食材ですよね。
ガチョウやアヒルからではなく、海からとれる「フォアグラ」もあるのです!
【海のフォアグラ】
日本では、アンコウやカワハギなどの一部の魚介類の「肝」を“海のフォアグラ”と呼ぶことがあります。
すべての魚の肝が濃厚なわけではなく、一部の魚しか肝に脂肪を蓄えないようです。
今回はそれぞれの特徴について、ご紹介させていただきます。
【濃厚なアンコウの肝】
アンコウはエサの少ない深海にすみ、エサの栄養分を肝にため込み、少しずつ使って生活しています。
そのためにアンコウの肝は濃厚で大きいものとなります。
タイは2%、マグロは3%ほどという肝の脂肪分に対して、アンコウはなんと40%も占めます。
驚きですね。
お店でよくみる通称「あんきも」は、肝をきれいに処理して、塩や酒で正味をしてから丸く成形し、蒸しあげて作られています。
【吊るし切り!】
アンコウは表面がヌルヌルしていて滑ってしまうので、「吊るし切り」というさばき方が伝統的に行われています。
アンコウを吊るし、口から大量の水を入れて身体を安定させて、さばいていくのです。
【ちょうちんでエサを釣る】
アンコウの頭部から擬餌状体という突起がはえています。
砂に潜って、その擬餌状体だけを出して、チラチラとゆらしてみせ、エサと間違えて近寄ってきた魚を丸のみしてしまいます!
そのためにアンコウの口はエサを飲み込みやすいように上を向いています。
このような魚の習性を「擬態」といいます。
【肝が大きいカワハギ】
体重に対する肝の重さを比べると、カワハギは15~20%も占めます。
タイは0%台、サバは1%台と考えると、とても大きいことがわかります。
カワハギは他の魚に比べて 運動量が少ないので、身に脂をためこむ必要がなく、その分栄養を脂肪に変えて肝に蓄えているからなのです。
秋から冬に備えてエサを多くとり、肝が特に大きくなります。
淡白な白身に、肝をといた醤油でいただくと、たまらないおいしさです。
【皮を剥ぐからカワハギ】
カワハギは、ちょっと力を加えるだけでメリメリっと一気に皮が剥がれます。
その理由は、他の魚に比べて皮が厚く身も硬いためです。
こうして、皮が剥がれやすいからカワハギという名前がついたのです。
またカワハギは英語で“ヤスリ魚”(file fish)といいます。
身を守るために、うろこが退化して小さいトゲになり、皮と一体化しているのでヤスリのような状態になっているのです。
なんと、3日間乾燥させたカワハギの皮は、わさびもすりおろせるほどになるそうです!
ちなみに一般的な日本の三大珍味といえば、ウニ(塩うに)、カラスミ(ボラの卵巣の塩漬け)、このわた(なまこの腸の塩辛)といわれています。
日本各地にもさまざまな珍味がたくさんありますよね。
食べ過ぎは禁物ですが、いろんな珍味を味わってみてはいかがでしょうか(^^)?
Text by ナナちゃん/食育インストラクター