冬から初夏(1月~5・6月位)まで漁が行われる「ホタルイカ」。
名前の通りホタルのように体から光を出すことで有名ですね。
成長しても10cmにも満たない小さなイカですが、新鮮なものをサッと浜で茹でたものは安くてとてもおいしいです。
今回はそんな旬のホタルイカにスポットを当ててみたいと思います!
【名前の由来】
ホタルイカといえば富山県が有名ですが、富山ではその昔ホタルイカのことを「まついか」と呼んでいたそうです。
明治時代に渡瀬博士という方が昆虫のホタルについて研究調査をしに来た際にこのまついかと出会い、美しく発光する姿を見て「ホタルイカ」と命名したといわれています。
ちなみに、ホタルイカの学名はそんな渡瀬博士にちなんで「Watacenia sintillans」といいます。
【はかない命・・・そして身投げ??】
ホタルイカは春に産卵します。
その卵が孵化し、大人になって再び産卵して寿命をまっとうするまでの期間は僅か一年ほど。
一年の間に子どもから大人になり、そして次へ命をつないでいく・・なんともはかない命ですね。
では「身投げ」とは何かというと、普段は水深が200~600mほどの深海に生息しているホタルイカですが、春の産卵期になると一気に海岸近くまで上がってきます。
産卵の時期は3~5月位。
この期間の新月の時に特にピークを迎えるそうですが、この現象は産卵のために深海から上がってきたホタルイカが、新月のために方向が分からなくなり、深海に戻れなくなって浜に打ち上げられてしまうために起こるのだそうです。(新月でなくても、条件が整えば身投げは見られるそうです。)
浜には無数の光るホタルイカが打ち上げられますが、その光の帯はとても幻想的な美しさです。
この現象は富山湾の春の風物詩としても有名です。
また、ホタルイカが海面に押し寄せる様は「ホタルイカ群遊海面」と名付けられ、国の特別天然記念物にも指定されています。
(ただし、ホタルイカが特別天然記念物なのではなくあくまでもその海面で起こる現象が特別天然記念物に指定されているのです。そうでないと、ホタルイカを食べることができなくなってしまいますのでね。)
【なぜ光るのか】
ホタルイカは目の周りや脚など体に無数の発光器をもっており、その中で発光物質と発光酵素が反応する事で体から青っぽい光を発します。
ですが、触っても熱くはないのですよ。
またこの発光器は刺激を受けたり驚いた時に光ります。
ホタルイカは光ることで、自分の身を隠したり、守ったり、また会話をしているといわれています。
身投げと呼ばれる現象の時に光るのは、浜に打ち上げられた刺激によって起こるといわれています。
【生食は注意!】
すぐに鮮度が落ちるホタルイカはかつてはあまり生で食されることはありませんでしたが、近年の流通網の発達により生きた状態で輸送する手段も確立されました。
その影響もあり、ホタルイカに寄生している旋尾線虫による寄生虫が原因の食中毒などが各地で起こるようになりました。
平成12年には厚生省(厚生労働省)より注意勧告や適正な処理の仕方などが発表されました。
適正な処理を行っていないホタルイカを食べると、寄生虫による食中毒にかかる恐れがあるので、生食する際はきちんと処理されているか確認をしたうえで食べる様にしましょう。
海中では私達を目で楽しませてくれ、また食べても美味しいホタルイカ。
富山県にはホタルイカのことが詳しくわかるミュージアムがあるのだそうです。
その名も「ほたるいかミュージアム」。
富山に行った際はミュージアムでホタルイカのさらなる魅力に迫ってみるのもいいですね!
Text by さゆり/食育インストラクター