「はじめチョロチョロなかパッパ、赤子泣いても蓋とるな」 これは昔から語り伝えられてきたごはんの炊き方で、炊くときの火加減をあらわす、かまど炊きごはんの極意です。
今ではスイッチひとつ簡単に炊けてしまいますが、土鍋のほうが、ふっくらモチっと、風味豊かなごはんに感じませんか?
【大切な火加減が簡単にできる土鍋】
薪が燃えはじめた時の弱い火から徐々に火力を強め、そのままじっくりと炊き上げていくのが、おいしいごはんの炊き方です。
当時は鉄の羽釜が使われ、熱しやすく冷めやすい特性を持っていたので、火加減がとても大切でした。
耐火性の粘土から作られた土鍋は、鉄とはちがい、「熱しにくく冷めにくい」特性があり、強火であってもすぐに熱することはなく、「はじめチョロチョロ」の温度調節が自然とできます。
じっくりと温度があがることで、お米のでんぷんが分解されて、甘みが引き出されます。
かまど炊きの場合、羽釜はかまどにすっぽりとはめ込まれているため、鍋全体がムラなく加熱され、かまどにかけてある間は熱が急激に下がることもありません。
土鍋はこの点でも同じで、一度、温まったらその熱は長く維持され、まんべんなく熱を伝えることができます。
その保温力のすごさは、鍋をしているときに火を止めてもグツグツと熱いままで食べられることでもご存知ですよね!
【ごはんも老化がすすむ?!】
おいしく炊けたごはんも、水気のあるところにそのままおくと、しだいに粘りを失い、パサパサとした、加熱前のでんぷんの状態へと戻ってゆきます。
この現象を、米のでんぷんの「老化」と呼ばれ、温度が低いほど早く進んでしまいます。
ごはんが冷めるとき、米粒の表面が水滴で濡れていると老化が早く進み、舌ざわりが悪くなります。
木でできたおひつや、乾いた布巾をかぶせて保管しておくと、余分な水気を吸収してくれるため、冷たくてもおいしいごはんを保ってくれます。
あたたかいおにぎりをラップで包むよりも、クシュクシュと丸めたアルミホイルでふわっと包む方がおいしく食べられる、というのも、この老化現象が大きくかかわっているということなのです。
【簡単!土鍋ごはんの炊き方】
ご家庭にある鍋物用の土鍋を使って、簡単でおいしく、しかも時短でお米が炊けてしまいます!
火力調節はなんと1回だけです。
<材料>
米・・3合
水・・540ml
<炊き方>
- 米は洗って分量の水を加え、30分~1時間浸水させる
- 土鍋に(1)を入れ、蓋をして中火にかける
- 沸騰したら一度全体をかき混ぜてから、再度蓋をし、弱火にして10分加熱する
※鍋物用の土鍋は深さがないので、かき混ぜることで米が対流しやすくなります - 火を止めて10分蒸らす
※おこげを作りたい場合は、火を止める前に1分ほど強火にかけましょう
みなさん、いかがでしたか?
土鍋でごはんを炊く方も最近は増えてきたのかな?と思います。
手軽でおいしくできてしまうので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
冬場しか土鍋は活躍しない…なんて方はぜひともチャレンジしてくださいね!
Text by ナナちゃん/食育インストラクター