大根を丸ごと堪能しよう!

おでんや漬物、焼き魚の添えなど私達の食卓に登場する回数が多い食材、「大根」
主根だけでなく、葉や皮まで余すことなく使え、安価で手に入りやすいですね。
今回はそんな大根についてご紹介します。

【原産地】

大根はアブラナ科ダイコン属に分類され、流通しているものとしては、大きく分けて日本大根・中国大根・ヨーロッパ大根に種類分けされます。
色は白だけでなく、中が赤いものや皮が黒い物など様々です。
旬は秋冬から春先と夏で、秋冬頃は甘みが増し、夏は辛みが強くなる傾向にあります。
原産地は諸説ありますが、地中海地方や中央アジアといわれています。
日本へは奈良時代には伝来していたそうですが、一般に普及したのは江戸時代頃です。
世界的にみると歴史は古く、エジプトでは紀元前から栽培されていたようです。
日本は各地で大根栽培が盛んで、様々な用途に応じた品種が出回っています。
その中で、練馬大根という品種がありますが、江戸時代から作られている漬物用の白首大根で、長い物だと1m近くになります。
参勤交代で地元と江戸を行き来していた人々が、その種を持ち帰り育てた事で、その土地土地の品種が生まれたとされるルーツの大根です。

【栄養】

大根は白くて水っぽいので、栄養なんてあまりないのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
主根の部分はほとんどが水分で出来ていますが、ジアスターゼ等の消化酵素やプロテアーゼというたんぱく質分解酵素を含みます。
ジアスターゼは胸焼けや胃もたれを改善・予防してくれます。
プロテアーゼもたんぱく質を分解する手助けをしてくれますので、消化吸収に役立ちます。
大根は皮の周りにビタミンCが比較的多く含まれるので、皮ごといただきましょう。
主根は水分の多い野菜ですが、葉は緑黄色野菜に分類され、栄養価の高い部分です。
βカロテンをはじめ、ビタミンC、ビタミンK、葉酸などのビタミン類、カルシウムなどのミネラル類、食物繊維を含みます。


【辛い大根おろし】

辛味大根と呼ばれる辛い品種もありますが、それ以外の大根でもおろしたものが辛かったという経験はありませんか。
これは大根に含まれるアリルイソチオシアートと呼ばれる成分によるもので、大根の先端部分に多く含まれ、胃液の分泌を高める効果があります。
おろし汁にも含まれるので、汁を切り過ぎないようにすると、しっかり摂る事が出来ます。
辛みが苦手な方は、大根の上の方をおろすと辛みが軽減されます。

【保存方法】

季節によっては立派な葉がついて売っている時期があります。
葉付きで購入したら、葉と主根はすぐに切り分け、別々に保存しましょう。
葉はそのままより、茹でてから保存したほうが栄養価は保たれやすいです。
主根の部分は丸ごとの場合は新聞紙に包んで冷暗所で保存し、使いかけの物はラップ等で包んで水分の蒸発を防ぎ、冷蔵庫に立てて保存しましょう。

通年で回っている大根ですが、季節によって、また用途によって様々な物があるので注目してみると楽しいですね。

Text by さゆり/食育インストラクター