炒め物やスープに大活躍の中国野菜、チンゲン菜。
スーパーでも普通に手に入るので、何かと出番の多い野菜なのではないでしょうか。
でも、登場頻度の高い割には、名前以外のことをほとんど知られていなかったり…?
今回はそんなチンゲン菜のお話です。
【生まれは中国の…どこ?】
ひと口に中国生まれといっても、広大な中国は国内でも地域ごとに食文化ががらりと変わります。
チンゲン菜は中国では南部の地域、華中から華南にかけてが原産ではないかと考えられています。
この地域の料理はいわゆる「食は広州にあり」と言われる広東料理に属しています。
広東料理は幅広い食材を使い、食材そのものの味を生かした割とあっさりめの味付けのものが多いのが特徴。
海に面している地域も多く、肉類だけではなく魚介類も食べられています。
そう考えると、アクやクセが少ないチンゲン菜のような野菜は活躍の機会が多かっただろうと想像できますね。
そんなチンゲン菜が日本にやって来たのは戦後、日中の国交回復後のこと。
日本での歴史は40年程度の新しい野菜です。
はじめは輸入品でしたが、日本人にも親しみやすい味だったため、たった数十年で全国に普及するほどの人気者になりました。
成長が早く、寒さに比較的強いので全国的に栽培されています(この栽培のしやすさも人気になった理由ですね)が、極端な暑さには弱いため、春から初夏にかけてと秋から初冬までの二度収穫期を迎えます。
この中で最もおいしいのは気温の低くなる秋から冬にかけて、つまり、今の季節です!
霜が降りると葉や茎に糖分を分泌して凍結を防ごうとするため、自然な甘味が増しておいしくなるそうですよ☆
【骨の強化に役立つ】
チンゲン菜は緑黄色野菜なので、抗酸化作用の高いβ‐カロテンや、カリウム、カルシウムなどのミネラルも豊富に含む栄養価の高い野菜です。
特にカルシウムは日本人に不足している栄養素のひとつなので、野菜から摂取できるのは嬉しいポイントです。
ただし、野菜に含まれるカルシウムは吸収されにくく、チンゲン菜だけ食べればOK!ではないので注意が必要です。
乳製品や小魚など、ほかにカルシウムが豊富な食材も摂りながら、足りない分を補う存在として考えるとよいですね。
なお、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや有機酸などを含む食材と組み合わせることで効率をよくすることができます。
ビタミンDは魚介類やきのこ類に豊富で、有機酸の中でチンゲン菜と組み合わせやすいのはレモンや酢など、仕上げにさっと一振りできるものがおススメです。
【しなびる前に食べたい】
チンゲン菜は葉より茎の方が重要視される野菜なので(栽培時に間引くのは茎を太らせる目的もあるほどです)忘れてしまいがちですが、立派な葉野菜の一種です。
そのため、野菜の中ではあまり日持ちしません。
冷蔵庫に入れてほったらかしにしていたら、あっという間に葉っぱが黄色くなっていた!なんてこともよくあるのです。
チンゲン菜を長持ちさせるためには、収納前に茎の根元を水につけて水分を補給させてから、ペーパータオルとビニール袋に包んで冷蔵庫(野菜室)へ入れてあげると、葉っぱの退色を遅らせることができます。
ただ、やはりチンゲン菜のおいしさはシャキっとした茎と鮮やかな緑色の葉っぱがあってこそなので、新鮮なうちに食べたいところですね☆
そういえば子どものころはあんまりチンゲン菜って見かけなかったなあ…と思い出しました。
当時としてはまだ新しい野菜だったので、それも当然だったんですね。
旬は今の時期とはいえ、比較的安定した生産量のチンゲン菜は通年を通して購入できる野菜のひとつです。
栄養もたっぷりなので、さまざまな場面で活躍させてあげて下さいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター