最初は観賞用だった?アスパラガスの秘密

メジャーな存在だけれど意外と詳細を知られていない野菜があります。
今回のテーマであるアスパラガスも、そんな野菜のひとつです。

【食べるより見るもの?】

トマトなら実としてなっている、大根なら土に埋まっているというふうに、栽培されているときの姿を想像してみると…。
アスパラガスの畑はどうなっているか、パッとイメージが浮かばない方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも、私たちが食べているのは、アスパラガスという植物のどの部分なのでしょう?
まず、日本に渡来したアスパラガスは、特徴的な枝(※葉っぱのように見えるものは、すべて枝にあたり、本当の葉は茎についているささくれのような部分です)をしていることもあってか、始めは観賞用として育てられていたそうです。
大正時代には食用として栽培されていたようですが、当時は缶詰野菜としての利用が主流でした。
今でこそアスパラといえばグリーンで、生で売っているものという印象でしたが、昔はアスパラといえば白いというイメージだったのですね。

野菜のアスパラガスとして売られているのは茎の部分です。
アスパラガスは枝より先に茎が土から生えているため、収穫期のアスパラ畑は、買ってきたアスパラガスをそのまま土に植えつけたかのような光景が広がっています。
ちょっとシュールですね…。
これは、食べる部分が直接外気にさらされているともいえます。
そのため一見キレイに見えるものでも、調理前には流水で洗って汚れを落とすようにしましょう!
ちなみに、皮のかたい部分はむいてしまうことが多いのですが、この部分は香りや味のよい部分でもあるので、下ゆでの時に一緒にゆでて出汁をとってもよいですね。

【白か緑か!?】

アスパラガスは緑黄色野菜の一種に数えられていますが、β-カロテンの含有量はそこまで多くないので、ほかの緑黄色野菜とも組み合わせて食べるとよいですね☆
骨の健康維持に役立つビタミンKや、血液などの合成に関わる葉酸といった栄養素が豊富なので、健康を裏から支えてくれます。
新陳代謝に役立つとされるアスパラギン酸も含まれていて、アスパラから抽出されたためにこの名がつけられました。
しかし、これらは日光を浴びて育ったグリーンアスパラの話で、日光を遮って栽培されるホワイトアスパラはグリーンに比べると栄養価は劣っています。
「ではホワイトアスパラはいいとこナシなの!?」
…いえいえ、ホワイトアスパラの持つ甘味や、やわらかくてクリーミーな口当たりは、グリーンアスパラには無い特別なものですし、一年のうちわずかな期間しか食べることができないことが、季節感を演出してくれます。
満足度も食事の大事な要素のひとつ。
それぞれの良いところを上手に生かせるとよいですね。


【ちょっとプラス?の話

アスパラガスのおいしさには食感も大きく影響します。
時間が経つにつれて水分が抜けて筋張った食感になってしまうため、できれば買ったその日のうちに食べきるのが一番です。
それでもあまってしまったときはそのまま放置せず、かためにゆでて冷凍するとよいですよ☆
アスパラガスに含まれる葉酸やビタミンCは水溶性なので、冷凍しない場合でもゆで時間を短くすることで、栄養価を逃さず食べることが出来ます。
冷水に取るときも、つけっぱなしはうま味や栄養を逃してしまう原因になるので、氷水で速やかに冷やして、水気は拭き取るのがベター。
グリルの場合も同様で、アスパラのおいしさのひとつであるシャキシャキの食感を生かすためには、長時間の加熱はNG!がキーポイントです。

春を告げる野菜のひとつでもあるアスパラガス、ぜひぜひ新鮮なうちにお楽しみくださいませ!

Text by はむこ/食育インストラクター