明日は桃の節句、「ひな祭り」ですね。
小さいころは毎年ひな人形を飾り、雛あられを食べたり、甘酒を飲んだりしていた記憶があります。
本来、桃の節句には「白酒」でお祝いをするのですが、なぜ、甘酒が定着したか知っていますか?
そもそも、甘酒と白酒の違いとは何なのでしょうか。
【「甘酒」のルーツとは?】
甘酒のルーツは、日本書紀に記されている「天甜酒(あまのたむざけ)」であると言われています。
このお酒は神祭のために造られたもので、アルコール分が少なく、甘酸っぱくてドロッとしたものでした。
その後、平安時代になると貴族の飲み物となり、室町時代になると一般にも売られ、造り方も進化し、アルコールを含まない「甘酒」となりました。
さらに、江戸時代には甘酒売りが登場するほど人気の飲み物になりました。
【「白酒」のルーツとは?】
もともと桃の節句には、桃が「百歳(ももとせ)」に通じ、邪気を払い不老長寿を与える植物とされたことから、お酒に桃の花を浮かべた「桃花酒(とうかしゅ)」が飲まれていました。
その後、江戸時代になると「白酒」が製造され、好んで飲まれるようになったことから、桃花酒から白酒に変わり、今では白酒が主流になっています。
【「甘酒」と「白酒」の作り方】
甘酒には、大きく分けて「米麹」を原料とするものと、「酒粕」を原料とするものの2種類があります。
米麹から作られるものは、炊いたご飯に米麹を混ぜて10~12時間ほど保温して米のデンプンを糖化し、発酵させたアルコールを含まない甘い飲み物です。
酒粕で作るものは、酒粕を水やお湯で好みの濃さに溶いて砂糖を加えたもので、酒粕にアルコール分が残ってはいますが、こちらもアルコール度数は1%前後で「酒」には当てはまりません。
そのため、昔から庶民の手作り飲み物として親しまれていました。
白酒は、みりんなどに蒸したもち米や米麹を入れて数ヶ月熟成させ、出来たもろみを細かくすりつぶして作ったものです。
アルコール分が10%前後含まれているため、「リキュール類」に分類され、家庭で作ることは法律上禁止されています。
このように白酒はアルコール度数がかなり高く、子どもが飲むには適さないため、代わりに似ている甘酒が楽しまれるようになりました。
今までひな祭りには甘酒を飲んでいたという方も、ぜひ今年は白酒で桃の節句をお祝いしてみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター