清々しく心地よい風を感じられる5月。
木々の若葉も鮮やかで気持ちのよい季節になってきました。
このころになると新茶の最盛期を迎え、茶畑では新茶摘みが行われます。
今回は、今の季節に味わいたい日本茶についてのお話です。
【八十八夜とは?】
立春から数えて88日目を「八十八夜」といいます。
この時期は農作物の種まきの時期で、「八十八」という字を組み合わせると「米」という字になることや末広がりの八が重なることから農業にとって縁起のよい日とされています。
また、新茶の茶摘みも盛んな時期で、八十八夜の日に新茶を飲むと、1年間元気に過ごせるといわれています。
新茶とはその年の最初に生育した新芽を摘み取って作ったお茶のことで、「一番茶」とも呼ばれています。
【日本茶の種類】
■煎茶
日本で最も一般的に飲まれている日本茶で、生産量の約8割を占めています。
甘味・渋味・苦味・うま味のバランスがよく、茶葉のもつ爽やかな香りを楽しめます。
煎茶の蒸し時間を2倍以上長くしたものは「深蒸し煎茶」と呼ばれています。
■番茶
新芽が伸びてかたくなった葉や茎を集めたもの。
渋みや苦みはほとんどなく、さっぱりとした味わいが特徴です。
■ほうじ茶
煎茶や番茶などを高温で焙煎し、香りを引き出したもの。
渋みや苦みが少なく、口あたりがよいのが特徴です。
■玄米茶
煎茶や番茶に同量の炒った玄米を混ぜたもの。
こうばしい玄米の香りが特徴です。
■玉露
直射日光を避けて育てた新芽を使って作られたもの。
最高級の日本茶とされ、とろりとした口あたりとふくよかな甘みが楽しめます。
【お茶の味と新茶の魅力】
お茶の味のベースとなっているのは「苦み」と「渋み」です。
苦味、渋みは一般的に不快とされる味ですが、なぜお茶は好んで飲まれるのでしょう?
それは、お茶に含まれている「うま味」と「甘味」が苦味をさっぱりとした苦味に変え、あと味に爽快感や甘味を感じさせるからです。
うま味や甘味は、お茶に多く含まれるグルタミン酸やお茶特有の「テアニン」によるもので、苦味と渋みの成分は、よく耳にする「カテキン類」や「カフェイン」です。
新茶はカテキン類が少なく、グルタミン酸などのアミノ酸類を多く含むため、より豊富なうま味、まろやかな甘味とさっぱりとした苦味、渋みを味わうことが出来ます。
【お茶に含まれる嬉しい効果!!】
テアニンやカテキン類、カフェインには嬉しい効果が期待できます。
テアニンは玉露や抹茶などに多く含まれ、リラックス効果や記憶力、集中力を高める効果があります。
また、カテキンはポリフェノールの一種で、生活習慣病の予防や、虫歯や口臭を予防します。
カフェインは知っている方も多い眠気覚まし効果のほかに、むくみや冷え性の改善、またカフェインを摂取し、適度な運動を行うことで、脂肪の燃焼を促す効果があると言われています。
【茶葉に適した湯の温度】
お茶の種類によって、抽出に適した温度が異なります。
参考にしてみて下さい。
- 90~100℃ ほうじ茶 玄米茶
- 70~80℃ 煎茶 抹茶
- 50~60℃ 玉露
【新茶が手に入ったら】
お茶は湯の温度やいれ方次第で味に大きな影響がでます。
今の時期にしか出回らない新茶、せっかく手に入れたのならおいしく味わいたいですよね。
そこで新茶のおいしいいれ方をご紹介します。
- 沸騰した湯を湯のみの8分目まで注ぐ(1人80mlくらい)
- 急須に茶葉(1人あたりティースプーン1杯くらい)を入れる
- 70~80℃に温度が下がった湯を急須に注ぎ、40~60秒そのまま待つ
※湯のみを持ったときに我慢できるくらいが目安です - 急須を軽く2~3回まわし、湯のみに注ぐ(最後の一滴まで残らず注ぎきる)
今年(2023年)の八十八夜は5月2日です。
最近は、ティーパックや顆粒などのお茶もいろいろな種類が出回り、手軽にお茶を楽しめるようになってきています。
しかし、時には急須でお茶をいれ、ゆったりとした時間を過ごしてみるのもよいですね。
Text byまち/食育インストラクター