“日本の冬”でイメージする光景によくセットで登場するのが、こたつでみかんを食べるシーン。
パッと見ただけで寒い真冬のひとときを思い出させる、日本の冬の風物詩といえます。
今回は、日本人の心に根づいた(?)みかんについて迫ります!
【温州…ってどこ?】
みかんとは、皮をむきやすい小型の柑橘類のことですが、一般的に私たちが「みかん」と呼んでいるのは、温州(うんしゅう)みかんと呼ばれる品種です。
この品種は日本国内で柑橘の出荷量の70%を占める年もあるほど、メジャーな柑橘類です。
そんな大人気の温州みかんですが、一体どこの地方のものなのでしょう?
品種名には地名になぞらえてつけられるものが多いので、温州みかんも「温州地方で生まれた品種なのかな?」と思うのですが…日本に温州と名のつく地域はありません。
温州市は中国の浙江省にあります。
柑橘類の栽培が盛んなことで知られていて、かつては日本との交易品にもなっていたようです。
温州みかんは、この温州市にあやかって名づけられました。
しかし、名前だけ見ると勘違いしやすいのですが、温州みかんは中国原産の柑橘を輸入して植えたものではありません。
紀州みかんや琉球原産のクネンボから生まれた日本生まれの柑橘であると明らかになっています。(※紀州みかんは中国原産とされているので、原産地と品種名がちぐはぐなのがみかんの特徴と言えるのかもしれませんね)
これは2010年代に温州みかんの遺伝子を解析(!)して突き止めたのだとか。
今後の品種改良に役立つデータにもなるとのことで、これからさらにおいしいみかんが食べられるかもしれませんよ!
【おこたでみかんは最高の組み合わせ!?】
見ているとなんだか懐かしくなる、こたつとみかんの組み合わせ。
実は、冬に流行する風邪の予防にも役立つのです!
真冬は空気が乾燥し、体が冷えやすいので、風邪が流行する絶好のタイミングです。
みかんに豊富なビタミンCは、免疫力の維持に欠かせない栄養素。
そして、みかんの果肉の色にも、体を守る秘密が隠されています。
みかんの色のもとはβ‐クリプトキサンチンという、体の中でビタミンAと同じ働きをする成分です。
ビタミンAは粘膜や肌のバリア機能を維持するので、風邪に負けない体をつくってくれます。
また、みかんの房や、房についている白い筋の部分には、ポリフェノールのヘスペリジンが含まれています。
この成分は血行促進に働くので、末端の冷えなどを防ぎ、体を温めてくれます。
かつては「みかんの筋を食べると盲腸になる」という都市伝説がありましたが、あくまでも都市伝説なので、栄養を考えると筋は食べたほうがよいですね。
体の外はこたつで暖まり、中はみかんでぽかぽか。
日本の冬の風物詩は、健康を守る最強のペアなのかもしれませんね☆
ただし!こたつで寝るのは脱水や低温やけどの原因となります。
とっても気持ちよいので、ついウトウトしてしまう…
そのお気持ちはとってもよくわかりますが、体に悪影響になってしまっては本末転倒です。
ほどほどに温まったら、一度こたつから出て頭をスッキリさせることも忘れないようにしてください!
みかんをめぐる名前の秘密、そしてこたつとの相性のお話は以上です。
これからますます寒くなるので、このペアに助けられる日はまだまだ続きそうですね。
みかんの日は「いいみかん」のごろ合わせと収穫時期から、年に2回ありますが、みかんの旬である12月下旬から1月上旬に近いのは12月3日です(もう1日は11月3日)。
これからどんどんおいしくなっていくみかんを食べ、寒い冬を乗り切りましょう!
Text byはむこ/食育インストラクター