10月2日は豆腐の日!腐ってないけど腐ると書くのはなぜ?

豆腐は語呂合わせ(とう=10、ふ=2)で、10月2日が記念日です。
安価でどこでも手に入る食品の代表格である豆腐。
日々の食事の強い味方ですね。
それにしても、食品なのに「腐」なんて漢字がつけられているのは、なんだか不思議に思えませんか?
今回は豆腐をめぐる豆知識についてのお話です。

【発酵食品ではない!】

「腐」の文字が使われているので、発酵食品なのでは?と思われることもある豆腐。
しかし、その製造工程のなかに発酵が関係する場面はありません。(大豆を発酵させた食品は、納豆が該当します)
それどころか、豆腐はどちらかと言えばデリケートな食品です。
開封後、食べきれなくて適当に冷蔵庫に入れていたら、なんだか嫌なにおいがするようになっていた…そんな経験がある方はいませんか?
水分が多いので、適切な方法で保存をしていないと、傷みやすいのですね。
ちなみに、豆腐の適切な保存方法は、パックの水を捨て、新しい水でひたひたの状態にして冷蔵することです。
水は毎日交換し、濁らない状態をキープしておきます。
数日のうちに食べきるようにしましょう。
この情報から考えると、傷みやすいことから「腐」とつけたのでは?と邪推したくなりますが、早合点は禁物!
それとは違う理由がちゃんとあるのですよ!

【豆腐の生まれ故郷】

豆腐は中国が発祥とされています。
かつて中国では「腐」の字が、やわらかいものを指すために使われていたことがあるようです(なお、現在では腐敗したものを指していることがほとんどです)。
そのため、日本に豆腐が伝わったときに、そのまま表記されたと考えられます。
とはいえ、日本でもこの「腐」の字をめぐってさまざまな考えがあったようで、「豆富」と書く場合があります。
腐が富に変わり、縁起がよさそうですね。
宴席でのお品書きなどで、この表記を見かけることがあります。
また、豆腐にはいくつかの別名が存在します。
現代でも見かける表記としては、「おかべ」がありますね。
これは女房言葉(女中言葉とも)と言われる、上品で優美だとされていた話し方で、今でもご年配の方の中には、豆腐を「おかべ」と呼ぶ方がいらっしゃいます。


【豆腐と世界、そして自給率】

「腐」の字が持つイメージはともかく、発祥の中国や日本でも、今現在は豆腐と表記することが一般的です。
そして、豆腐は英語で「Tofu」と書き、ワールドワイドな食品になっています。
アジア以外の地域でも豆腐が食べられるようになったのは、豆腐が植物性たんぱく質が豊富で、肉や魚の代用として食べられる食品であることが大きな理由のひとつです。
その証拠に、今やベジタリアンメニューにおいて、豆腐の存在は欠かせないものとなりました。
それほど世界中に広まった豆腐。
長く豆腐を食べてきた日本人としては少し誇らしくなる話題にも思えます。
しかし、豆腐の原料となる食用大豆の自給率は、25%程度(※農林水産省、平成29年発表に基づく計算)だという事実も、豆腐の日だからこそ覚えておきたい知識です。
大豆の需要が世界的にもっと高まれば、国内での自給率の低い日本では、豆腐を値上げする可能性が高くなると言わざるを得ない状態なのですね。
もちろん、自給率問題はすぐさま解決できるような問題ではありませんが、一人ひとりの食べ残しなどSDGsの観点からも避けたいところです。
使い切れなかった豆腐も、しっかり保存して食べきりたいですね。

豆腐は日本の食文化にとって、大切な食品のひとつです。
これからも末永く、おいしく食べられるようにしたいですね☆

Text byはむこ/食育インストラクター