鮭・鱒・サーモン…?呼び方が不思議なあの魚の秘密

鮭は世界中で消費されている身近な魚です。
その普及ぶりはといえば、日本国内だけでも、ほとんどの鮮魚市場やスーパーにも鮭が置いてあることからうかがい知ることができます。
でも、鮭だったり鱒だったりサーモンだったり、同じように見えるけれど呼び方がいろいろあることに戸惑うことはありませんか?
今回は鮭の呼び名の謎について迫ります!

【身の色が一緒!だけど…?】

鮭の最大の特徴が、ほかの魚とは異なるオレンジ色の身の色でしょう。
店頭に並んでいると、赤身か白身の魚が多い中で、その色がひと際目立ちます。
そこで表記をよく見てみると、「カラフトマス」、「アトランティックサーモン」など、鮭とは違う表示のものがありますよね?
サーモンは鮭の英語名なので、それほど不思議には思えませんが、鱒(ます)となると、漢字からして別の魚のように思えます。
では、鮭と鱒は別の種類の魚なのかというと…実は、違いが定義されていないのです!
鮭と鱒はどちらもサケ科サケ属で、生態にも大きな違いがありません
どちらも河と海、両方で生活可能な特性があるので、海に出れば○○、河にいれば○○のように区別することもできないのですね。
日本では河にいるものを鱒と呼んだとする説もありますが、現代では定義されていません。

また、大きさで分類するとされた説もありますが、こちらも現代では採用されていません。
ちなみに、西洋でのサーモン(キングサーモン)は、日本ではマスノスケと呼ばれることがあり、言語の違いがこれらの魚の区別をさらに難しくさせる要因にもなっています。
そして、これらの種は交雑することがあり、獲った魚が鮭なのか鱒なのか、はたまたサーモンなのかは、もはや一般には判別できない状態なのです。

私たちが実際に購入するときは、商品名(紅鮭、シロサケ、カラフトマス、キングサーモンなど)の表記に従うか、身の色や脂のノリ具合で決めてよさそうです。
なお、サケ科の魚はいずれも寄生虫感染のリスクが高い魚です。
刺身でいただく場合はきちんと刺身用と表記して販売されているものを購入して下さいね☆


【ビタミンカラーの秘密】

サケ科の魚といえば、鮮やかな色合いが目を引くオレンジ色の身が特徴です。
色合いから赤身魚のように思われることがありますが、実は、サケ科の魚は白身魚に分類されています。
このちょっと紛らわしいオレンジ色の正体は、色素成分のアスタキサンチンです。
強い抗酸化作用を持つ成分で、活性酸素の発生を抑えるので、エイジングケア効果が期待できる成分です。
また、脂ののった状態であれば、DHA・IPA(EPA)といった不飽和脂肪酸もたくさん摂れるので、血液サラサラ効果が期待できます。
血栓を防ぐといった疾病予防のイメージがありますが、血液は全身に栄養を運んでいるので、肌の状態に関係する要素のひとつでもあります。
サケ科の魚は通年手に入り、時期による価格の変動を受けにくいのも魅力のひとつです。
また、世界中で食べられているので、和・洋・中どの料理にも合いますし、レシピも無数にあるので、飽きずに食べられるのもメリットです。

鮭・鱒・サーモン…呼び方はさまざまですが、どの魚でも鮮やかで美しい身の色と、おいしさに変わりはありません。
これからも私たちの食卓に欠かせない存在として、食卓を彩ってくれるはずです。
こけからも末永く、おいしく食べたいですね☆

Text byはむこ/食育インストラクター