日本で一般的な食肉といえば、鶏・豚・牛の三種です。
そのなかでも一番高価なのが牛肉。
毎日食べようと思うとちょっとコストが気になるお肉ですよね。
それにしても、牛肉はどうして鶏肉や豚肉と比べて高価格になるのでしょう?
今回は牛肉の値段の秘密についてのお話です!
これを読んだら「牛肉って高い!」と言えなくなるかも…?
【牛肉が高い納得の理由とは…?】
現在、日本の牛肉の自給率は4割ほど。
つまり、半分以上が輸入牛です。
食品の輸送コストは価格に上乗せされているので、牛肉のコストが高いのはそのせい?と思えるかもしれません。
しかし、鶏肉や豚肉も、牛肉ほどではないものの輸入品が一般流通しているので、輸送コストだけが価格の原因ではありません。
牛肉のコスト高の理由、その多くを占める要素が、以下の二つです。
一つ目は、鶏や豚と比べて出荷までの時間がかかるから。
食肉の出荷までにかかる期間は、一羽(頭)あたり鶏で7~8週間、豚で180日(約25週ほど)に対し、牛は30カ月ほど!
なんと二年以上もかかります。
その分、飼料を始めとする生育コストがかさむので、それが価格に上乗せされるのですね。
いま、当たり前のようにスーパーなどで購入できる牛肉ですが、食卓に並ぶまで二年以上も手間暇をかけて育てている…と考えると、とってもありがたい存在に思えませんか?
二つ目は、牛を育てる環境の確保が難しいこと。
牛は体が大きく、牧畜には鶏や豚と比べて広大な土地が必要です。
日本は国土の多くが山地のため、アメリカやオーストラリアのように、超大規模な牧場を有して多くの牛を育てることが難しいのです。
しかし、日本には工夫を凝らして丁寧に牛を育て、多くのブランド和牛を生み出してきた歴史があります。
その結果、和牛は今や世界で通用する高級食肉にまで価値を高めています。
普段から食べるようなお肉では無いのですが、量より質をとって昇華させた形と言えそうです。
つまり、牛肉そのものが割高な上に、国産牛は環境の問題で出荷数が多くない。
お財布には厳しいように感じますが、適正な価格なのですね。
【赤色に秘められた栄養】
牛肉が高いのは仕方ないことなら、買うのは鶏肉や豚肉だけにしてしまおう。
そう考えてしまうことがあるかもしれませんが、牛肉はさまざまな栄養素を含むので食べることによるメリットもしっかりあるのです!
その大きな理由が、牛肉の赤い色。
お肉売り場の中でもひときわ目を引く鮮やかな赤は、ミオグロビンと呼ばれる色素によるものです。
ミオグロビンは鉄を持っているので、真っ赤な牛肉はそれだけ多くの鉄が入っています。
また、牛肉は代謝に必要な亜鉛やビタミンB群も多く、特に造血のビタミンと呼ばれるビタミンB12を持っているので、貧血予防や発育のサポート・疲労回復など、さまざまな効果が期待できますよ☆
ちなみに、これらの栄養素は赤身の多い部位の方がより多くなるので、栄養のためにも牛肉を食べたい!というときはジューシーな霜降り肉ではなく、赤身肉を選ぶようにするとよさそうです。
毎日食べるにはちょっと贅沢な牛肉。そこには、牛をめぐる環境や生態など、さまざまな要素が絡んでいたのですね。
現在、日本の酪農・牧畜は廃業化が進んでいるなど、牛肉のコストに関わる問題がたくさんあります。
個人で解決できるものではありませんが、これからの食の安定供給のためにも、コストに絡む事情はぜひ、知っておきたいところですね。
Text byはむこ/食育インストラクター