日本でも、西洋のハーブやスパイスが身近になりました。
西洋料理やエスニック料理などに使うと、ぐっと本場の味に近づきますよね。
今回はエスニック料理でおなじみ、スパイスについてのお話です。
【スパイスの歴史は人類の歴史?】
過去にも何度かスパイスとハーブの違いについては記事にしてきましたが、そちらでご紹介してきた「スパイス=植物を乾燥させた調味料」の考え方に基づいて、今回のお話も進めていきます。
人類とスパイスの歴史は紀元前にさかのぼることができます。
当時は料理の風味づけにする以上に、保存のために使用するのが大きな目的でした。
食品だけではなく、古代エジプトの時代にはミイラの防腐にも使われていたそうです。
冷蔵庫の無い時代では食品を保存する方法がとぼしく、その価値は現代と比較にならないほど高いものでした。
時には黄金に匹敵する価格がつけられることもあったようです。
そんなスパイスの安定供給を求めたことがひとつの要因となり、15世紀には大航海時代が始まるなど、歴史を動かす要素のひとつだったといえるでしょう。
現代のようにスーパーで気軽にスパイスが購入できる光景を昔の人が見たら、飛び上がって驚くかもしれませんね。
なお、現代の食品保存の観点では、スパイスを使うよりも冷蔵ないし冷凍する方が衛生的かつ安定性があり、安全です。
現代のスパイスは料理をよりおいしくしてくれるワンポイントとして、世界中の人々に愛されるようになりました。
【代表的なスパイス三選】
●クミン
夕暮れ時に道を歩いていると、どこからともなく漂ってくるカレーの香り…。
そんな経験をされた方も少なくないと思います。
この特徴的なカレーの香りを発しているのが、クミンです。
香りをかいでいるだけで、今日は何を食べようかな?という気分になるのは、嗅覚を刺激することで胃酸の分泌が活発になるためです。
疲れていてなんとなく食欲が無いときは、クミンシードを使ったサラダや、カレー風味のおかずを一品入れるのがおすすめです。
●ターメリック
ショウガ科の植物ですが、スパイスとしてはあまり味や香りが無く、主に黄色の着色を目的として使われます。
別名ウコンとも呼ばれ、こちらの名前の方がなじみ深いという方も。
ターメリックにはポリフェノールの一種、クルクミンが含まれています。
クルクミンは肝臓の保護に働くため、二日酔い防止に役立つといわれています。
お酒が好きな方にとっては、覚えておいて損はないスパイスですね☆(※ターメリックさえ食べれば二日酔いにならないわけではありません)
●クローブ
別名チョウジとも呼ばれる、種子や葉ではなくつぼみを利用するスパイスです。
ほのかに甘さを感じるスパイシーな香りが特徴で、肉料理の臭み消しに利用されています。
クローブの香気成分の一種であるオイゲノールは、抗炎症作用や鎮静作用、殺菌作用などがあり、口臭予防や防虫の目的で利用されていた歴史もあります。
甘い香りは肉だけではなく果物やお菓子とも相性がよく、いろいろな食べ物と組み合わせられます。
あまった果物と一緒に煮て、コンポートなどに利用するのもおすすめです。
スパイス=辛いもの、とイメージしがちですが、辛さではなく香りを求めて入れるものもたくさんあります。
普段あまりかいだことのないスパイスの香りをかぐと、嗅覚が活発に働き、気分を変えてくれる効果も期待できます。
ストレスで気が滅入っているときは、スパイスをたっぷり使ったカレーを食べると気持ちの切り替えがうまくいくかも!?
ぜひ、日ごろの食生活にお役立てください☆
Text byはむこ/食育インストラクター