木の根のような見た目のごぼう。
きんぴらや煮物など日本人の食卓には欠かせませんよね。
今回はそんなごぼうについてのお話です。
【ごぼうは縁起物】
ごぼうは地中にまっすぐ根を張ることから、家族や家業がその土地に根づき安泰に代々続いていくよう願いを込められた縁起のよい食材です。
関西地域では黒豆・数の子・「たたき牛蒡」が祝い肴三種(関西)とされ、おせち料理に欠かせない食材です。
【ごぼうが天然記念物!?】
千葉県匝瑳(そうさ)市大浦地区だけで生産されているごぼうで、その名も「大浦ごぼう」。
これは、ほかのごぼうと比べて直径が10㎝程と太く、長さが1mにもなるのが特徴で、匝瑳市の指定天然記念物になっています。
平将門の乱(939年)の際、藤原秀郷が新勝寺に戦勝祈願をしたとき、大浦ごぼうが振舞われ勝利を収めたということから、「勝ちごぼう」として新勝寺の精進料理の中で珍重されるようになりました。
今日では成田山新勝寺に奉納するために、契約栽培されているため市場には出回らず、全国からの参拝者に提供され、新勝寺の精進料理としてなくてはならないものとなっています。
一方、スーパーや直売所などで販売されている大浦ごぼう(大浦太ごぼう)もありますが、契約栽培のものとは区別されています。
とはいえ、しっかりと太さがあって食味のよいごぼうです。
野菜が指定天然記念物だなんて珍しいですが、このごぼうを地域で守ろうとしているのが伝わってきますね。
【美味しいごぼうの選び方】
まっすぐでひげ根が少なく、ひびやしわが無いものを選びましょう。
泥つきの方が日持ちし、風味も強いです。
また、太すぎるものは「す(空洞)」が入っている恐れがあるので、太さが均一なものを選びましょう。
【嬉しい効能】
●イヌリン
水溶性の食物繊維で、腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境改善に役立ちます。
また、血中に含まれる脂肪を低減したり、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。
●クロロゲン酸
ごぼうにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれています。
これには抗酸化作用があり、血糖値の上昇抑制のほか、がん予防や老化防止、脂肪の蓄積を抑える働きがあります。
【ごぼうの皮はむかないで!】
ごぼうは泥つきで販売されていることも多く、下ごしらえでついつい皮をむいたりしていませんか?
じつは、ごぼうの香りやうま味は皮に含まれているので、泥や汚れはタワシで洗う程度にしましょう。
また、水にさらすと出るアクには、ポリフェノール類が含まれています。
アク抜きをしてしまうとうま味も出てしまうのでアク抜きせずに調理するのが望ましいです。
もし、アク抜きをする場合は短時間にしましょう。
【ごぼうを使った郷土料理】
●くるみごぼう(滋賀県)
くるみを使うのではなく、枝豆で作った餡とごぼうを和えた(くるんだ)もので、滋賀県甲賀市信楽町に古くから伝わる料理。
信楽町上朝宮の三所神社で行われる秋祭りの際に供えられ食す風習があるため、毎年秋になると振舞われています。
食べると一年間健康で過ごせるといわれています。
●けの汁(青森県)
津軽地方の代表的な郷土料理です。
ごぼうなどの根菜や山菜、きのこ、高野豆腐など(家庭や地域によって違う)をさいの目に刻み、みそ(又はしょうゆ)で味をつけた汁ものです。
名前の由来は諸説ありますが、津軽地方では「粥(かゆ)」を「け」 と呼ぶことから「けの汁」といわれるようになったようです。
いかがでしたか?
縁起物で栄養もあるごぼう。
おせちで食べることがあったら思い出してくださいね。
Text by あお/食育インストラクター