里芋ってどんな野菜?里芋について知ろう

ほくほく・ねっとりとした食感で煮物料理に使われることの多い里芋。
東北地方では芋煮会というイベントもあるほど人気の里芋についてのお話です。

【里芋の歴史】

里芋は縄文時代には伝わっていて、日本では米より先に主食とされていた、歴史のある野菜です。
もともとはアジアのとても暑い地域で生まれた作物です。
里芋という名前は山で採れる「山芋」に対して、里で採れるから里芋と呼ばれるようになったといわれています。
また、美しい月を楽しむ「中秋の名月」のお月見ですが、秋の収穫を感謝する意味合いがあり、特に大切な作物の収穫を祝い・感謝したことから、この時期に旬を迎える里芋をお供えするのが江戸時代の定番でした。

 【里芋は縁起のよい食べ物】

里芋は「親芋」の回りに「子芋」や「孫芋」がたくさんつくことから、子孫繁栄を表す縁起のよい食べ物とされています。
地方によっては、お正月のお雑煮にも入っています。

 【かゆくなるのはなぜ?】

かゆくなる原因は「シュウ酸カルシウム」です。
シュウ酸カルシウムは、目に見えないほどの小さな針状の結晶となって存在しています。
これが皮膚に刺さり刺激することで、かゆみを感じます。
でも、シュウ酸カルシウムは酸に弱い性質があり、手に酢をつけてから皮をむくと、かゆみを防ぐことが出来ます。

【里芋は食用となる部分で3種類ある】

里芋は品種によって食べる部分が異なります。
「京いも(たけのこ芋)」に代表される親芋を食べる品種、「土垂(どだれ)」に代表される子芋を食べる品種、「八頭(やつがしら)」に代表される親芋・子芋の両方を食べる品種と大きく分けて、3つに分けられます。
また、「いもがら」や「ずいき」は里芋の葉柄のことで、生であればアクを抜いてから酢の物や汁物に使われます。
乾物の場合は、水で戻してから煮物や炒め物にします。


【種類によって旬が異なる】

里芋は旬の時期は大まかに秋~冬ではあるものの、里芋の種類によって旬とされる時期もそれぞれ異なっています。
土垂の旬は9月~10月
メジャーな種類の里芋のひとつである土垂ですが、これは関東地方で多く栽培されています。
八頭の旬は12月
千葉県や茨城県などを中心に栽培されており、おせち料理によく使われます。
京いも(たけのこ芋)の旬は11月~3月
京いもは名前に「京」とつきますが主産地は宮崎県です。

【里芋を切ったら中が赤い!?】

外側が赤くなっていたり、カットしたら中に赤い斑点があったことはありませんか?
これはポリフェノールの一種アントシアニンが酸化しているからです。
時間が経ちすぎた場合に現れます。
食べても問題はありませんが、風味が落ちていることが多いので、なるべく早く食べるようにしましょう。

【里芋の保存方法】

里芋は寒さと乾燥に弱く、常温保存が基本です。
泥つきのまま新聞紙を巻いて直射日光が当たらない冷暗所に保存しましょう。
食材が腐りやすい夏場、里芋の土を洗ってしまった場合は、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
里芋は洗ってしまうと鮮度が落ち、カビが生えやすいので、水気はよく拭いておき、ペーパータオルで包みビニール袋に入れるか、新聞紙で包むとよいです。

【里芋の気になる栄養】

●食物繊維
消化吸収や血糖値の上昇をゆるやかにしたり、有害な物質を吸着して体外に排出することで、肥満や生活習慣病の予防効果・腸内環境を整え、便秘予防も期待できます。

●カリウム
里芋はじゃが芋の約1.5倍のカリウムが含まれています。
カリウムは体内の余分な塩分や水分を体外に排出する働きがあり、むくみ改善・高血圧予防効果があります。
またカリウムは水溶性で、煮ると約30%が失われます。
含まれる食材は生でとるのがベストですが生で食べられない里芋はスープやみそ汁などにして、カリウムが溶けだした煮汁ごととるようにしましょう。
また、塩分の摂取量が多いと、ナトリウムとともに排出されてしまうので、味つけは薄めにしましょう。

●ガラクタン
里芋特有のぬめり成分で、水溶性食物繊維のひとつです。
血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する効果があります。
また、摂取しても体内で分解されずに、そのまま体外に排出されます。
このため脂肪になりにくいという特徴があります。

いかがでしたか?
里芋について知っていただけたと思います。
ぜひ食べてみて下さい。

Text by あお/食育インストラクター