郷土料理は、地域の産物を活用し、風土にあった食べ物として作られ、人々の暮らしの中で受け継がれてきました。
南北に長い日本では、地域性豊かな郷土料理がたくさんあります。
今回は大分県のおやつ「やせうま」をご紹介します。
【やせうまとは?】
小麦粉を練って平たくのばしてゆでたものに、きなこと砂糖をまぶしたおやつです。
この生地を野菜などとともにみそ仕立ての汁に入れたものが、大分の郷土料理「だんご汁」になります。
「やせうま」は郷土銘菓として大分県内の学校給食や甘味処でも提供され、地元でも人気!
その名の由来は、諸説ありますが、古野(大分県由布市)で、平安時代、お腹をすかせた貴族の若君が乳母の八瀬(やせ)に「八瀬(やせ)、うま(幼児言葉で「食べ物」を指す」)うま」とせがみ、そのたびに八瀬が小麦粉を薄くのばしてきなこをまぶしたものを食べさせ、「やせうま」と呼ばれるようになったのだとか。
なんともユニークな名前ですよね。
それではレシピをご紹介します。
【やせうま】
<材料> 調理時間:20分(生地をねかせる時間を除く)
小麦粉(中力粉)・・200g
塩・・5g
水・・100ml
Aきなこ・・大さじ1
砂糖・・大さじ1
<作り方>
- ボウルに小麦粉と塩を入れて混ぜ、水を少しずつ加えてながらよくこね、耳たぶくらいのかたさに調整する
- 生地が手につかなくなるまでこね、棒状にして2cm長さに手でちぎり、濡れ布巾に包み、常温で1時間くらいねかせる
- (2)を手で平らに長くひきのばして、バットに入れておく
※なるべく薄くのばしましょう - 鍋に湯を沸かし、(3)の生地がくっつかないように入れてゆでる
- 生地が浮いてきたら、ザルにあげて冷ます
- 器に盛り付け、合わせたAをまぶす
もちもちとした食感に甘いきな粉がたまりません。
お好みで黒蜜をかけてもおいしく召し上がれます。
【きな粉の栄養は?】
きな粉は大豆を丸ごと炒って粉にしたもので、大豆の成分をすべてかね備え、大豆そのものより消化がよいのが特徴です。
大豆は「畑の肉」と呼ばれるほどたんぱく質が豊富な上、体に必要なビタミン・ミネラル、脂質などを含んでいます。
そしてとくに注目したいのが3つの機能性成分!
●大豆イソフラボン
女性ホルモンのエストロゲンと似た作用を持ち、エストロゲンの分泌を促進して更年期障害の緩和や骨粗しょう症の予防に役立ちます。
●大豆サポニン
大豆に含まれる渋みや苦みの成分。
強い抗酸化作用があり、体内で脂質の過酸化を抑えて代謝を活性化させる働きがあります。
また、コレステロール値を下げ、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防にも役立ちます。
●レシチン
リン脂質の一種で、細胞膜の主成分です。
脳や神経組織、肝臓などに多く存在し、脳の働きを活性化させ、記憶力や集中力を高めるほか、老人性痴呆症の改善にも期待されています。
また、レシチンには乳化作用があり、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を助け、美肌づくりに一役買ってくれます。
そのほか、骨や歯を丈夫にするカルシウムや貧血予防に働く鉄、便秘を解消する食物繊維も含まれ、体に嬉しい効果がいっぱいです♪
きな粉は栄養価が高いので、子どものおやつにもぴったりです。
いかがでしたか?
「やせうま」は素朴でどこか懐かしい味。
生地をこねたりのばしたりする作業は、子どもにもできるので、親子で作ってみてもいいですね。
材料もそろえやすいので、ぜひ挑戦してみてください♪
Text byくまこ/食育インストラクター