今回は、沖縄県のソウルフード!「クーブイリチー」についてのお話です。
【「クーブイリチー」ってどんな料理?】
「クーブイリチー」の「クーブ」は“昆布”、「イリチー」は“炒め煮”を意味します。
千切りにした昆布を炒め、豚肉やかまぼこなどの具材と、出汁やしょうゆ、砂糖などで煮込んで作る、沖縄の郷土料理です。
さまざまなイリチーの中でも、主にハレの日に作られたのが「クーブイリチー」です。
昆布と「よろこぶ」とかけて、結婚式などの祝い事に欠かせない料理となっています。
沖縄県では家庭でも一般的に作られていますが、県内外の沖縄家庭料理の店をはじめ、最近では学校給食で出されていることもあるようです。
【実際にクーブイリチーを作ってみよう!】
<材料(4人分)> 調理時間:30分
刻み昆布(乾)・・30g
豚バラ薄切り肉・・50g
かまぼこ・・30g
Aかつお出汁・・200ml
A酒・・大さじ1
Aみりん・・大さじ1
Aしょうゆ・・小さじ1・1/2
A砂糖・・小さじ1・1/2
塩・・少々
サラダ油・・小さじ1
<作り方>
- 刻み昆布はよく洗い、ぬるま湯に10分ほど浸して戻す。
ザルに上げ、水気を切る。 - 豚肉は1cm幅に、かまぼこは4~5mm幅の棒状に切る。
- 鍋にサラダ油を熱し、(2)の豚肉を入れて炒める。
色が変わってきたら(1)の昆布・(2)のかまぼこを加え、炒め合わせる。 - (3)に合わせたAを加え、ひと煮立ちしたら弱火で15分ほど煮る。
(ときどき、全体をかき混ぜながら煮てください。) - 汁気が少なくなったら、塩で味を調える。
昆布のグルタミン酸と、かつお出汁や豚肉のイノシン酸で、うま味の相乗効果が期待できます☆
材料も少なく、手軽に作れるのでおすすめですよ!
【昆布にはどんな栄養があるの?】
●食物繊維
アルギン酸やフコイダンといった水溶性の食物繊維が多く、便秘改善や腸内環境を整える働きが期待できます。
●カリウム
体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみを予防します。
●カルシウム
日本人が不足しがちな栄養素のひとつで、歯や骨を丈夫にするほか、血液凝固作用の促進や筋肉の収縮に関与しています。
【沖縄県と昆布の深い関係】
昆布は寒流の親潮が流れる海で育つ海藻なので、沖縄では採れません。
しかし、沖縄は長らく、昆布の消費量(1人あたり)が全国トップでした。
沖縄で昆布をたくさん消費する食文化が根づいたのは、ある歴史的背景が関係しています。
琉球王国は1600年に薩摩によって占領され、中国やほかのアジア諸国との貿易基地となりました。
そして、琉球から中国へ輸出される目玉商品のひとつとして昆布が加わりました。
薩摩は、大阪や下関などで琉球の砂糖を昆布に換えて中国に運び、漢方薬や唐物を入手して儲けていました。
この貿易の中で、時には仕入れすぎてあまったものや、貿易品として扱えない不良品の昆布が、琉球の一般庶民の手に届く値段で流通していったと考えられています。
ちなみに、沖縄では昆布は「出汁をとる」というよりも、「昆布そのものを食べる」ことが多いようです。
食物繊維やミネラルが豊富な昆布は、沖縄の人たちの健康と長寿を支える一要素になっていったのかもしれませんね☆
いかがでしたか?
今回ご紹介した「クーブイリチー」は、常備菜やお弁当のおかずとしても重宝します!
また、昆布は揚げてもおいしいので、「もずくの天ぷら」のように「クーブイリチー」をかき揚げにしたり、卵に混ぜ込んで卵焼きにするのもおすすめです。
ぜひ、お試しください☆
Text byろい/食育インストラクター