寒くなるこの時期によく見かける、小さな粒の「きんかん」。
皮ごと食べられる手軽さと、ほのかな苦みと甘みが特徴の今がおいしい果物です。
【きんかんの特徴と産地】
きんかん(金柑)は中国原産の柑橘類で、日本には江戸時代に中国より薬用として伝わったと言われています。
現在、約7割が宮崎県で栽培され、よく見かける「たまたま」も、宮崎のブランドです。
そのほかに、鹿児島県や熊本県、佐賀県、和歌山県などの温かい地域で多く栽培されています。
早ければ11月ごろより出回るきんかんですが、最もおいしく、たくさん出回る旬の時期は1~3月上旬です。
先ほどご紹介した「たまたま」というきんかんは日本で多く栽培されている「寧波きんかん」の一種で、実が大きめで甘いのが特徴です。
皮もやわらかく、そのままおいしく食べられるのですが、種が多いという一面も。
そこで、種なし品種の育成が進められ、「ぷちまる」といった種のない品種も多く出回るようになりました。
【おいしいきんかんを選ぶポイントは?】
きんかんは完熟になったものを収穫しているので、スーパーなど店頭に並んでいるものが食べごろの状態です。
果皮が濃いオレンジ色でハリとツヤがあり、手に持ったときに重みがあるものを選びましょう。
ヘタが茶色っぽくなり、枯れているようなものは収穫から時間が経ってしまっています。
常温でも1週間くらいであれば保存可能ですが、すぐに食べない場合は乾燥しないようにビニール袋に入れて野菜室で保存しましょう。
よく洗ってから水気を拭き取り、種とヘタを取ってラップをして冷凍すれば、1か月くらい持ちます。
食べるときは半解凍して、シャリシャリとシャーベットのような食感を楽しむのがおすすめです。
【小さな果実には嬉しい効果がたくさん!】
ほかの柑橘類と違って皮ごと食べられるきんかんは、その皮の部分にも栄養素がたくさん詰まっています。
レモンと同じくらいとも言われる「ビタミンC」のほか、「ビタミンB1」や「ビタミンE」、「β‐カロテン」などのビタミン類が豊富で、風邪予防や疲労回復、美肌作りなどに効果が期待出来ます。
また、果物には珍しく「カルシウム」が多く含まれているのも嬉しいところ。
そして、注目したいのがポリフェノールの一種でビタミンPとも呼ばれる「ヘスペリジン」です。
ヘスペリジンは柑橘類の果皮に多く含まれており、皮ごとおいしく食べられるきんかんは、その栄養を無駄なく摂ることが出来ます。
ヘスペリジンはビタミンCの吸収をよくして毛細血管を強くする働きや、血圧上昇を抑え、動脈硬化を予防するのに役立ちます。
このほかにも、古くから咳止めやのどの炎症を鎮めるものとして、のど飴などにも使われています。
【きんかんのハニージンジャーシロップ】
風邪予防やのどによい「しょうが」と「はちみつ」を合わせ、栄養もパワーアップ!
そのままでもおいしいきんかんですが、たくさんあって食べきらないときに作っておくと重宝します。
<材料(作りやすい分量)> 調理時間:15分(つけ込み時間は除く)
きんかん・・200g
しょうが・・1かけ
はちみつ・・適量
<作り方>
- きんかんは水でよく洗い、横半分に切ってヘタと種を取る。
しょうがは皮をよく洗い、水気を拭き取り薄切りにする。 - たっぷりの湯を沸かし、きんかんを入れて1分茹でてザルに上げる。
- (2)の水気をしっかりと拭き取り、保存容器にしょうがとともに入れる。
- (3)にはちみつをきんかんが隠れるまで注ぎ、蓋をして冷蔵庫でひと晩おいたら完成です。
出来上がったシロップは、冷蔵庫で約2週間保存可能です。
水やお湯、ソーダや紅茶などに入れてドリンクとして楽しむのはもちろん、ヨーグルトやパンにかけて食べるのもおすすめです。
さらに、鶏肉や豚肉などのソテーの甘みづけとしてもおいしく使うことが出来ます。
寒いこの時期ならではの旬の果物、「きんかん」。
おいしく食べて毎日を健康に過ごしましょう!
Text by まち/食育インストラクター