ステーキやハンバーグなど、肉料理のつけ合わせとして大活躍する野菜「クレソン」。
お店でみかけるクレソンのほとんどが栽培もので最近では1年中安定して手に入るようになりましたが、旬は3~5月の今の季節です。
【一般的に広まったのはごく最近!?】
クレソンはヨーロッパ原産のアブラナ科の水生植物です。
山地の清流がある場所に多く自生することから英語では「ウォータークレス」と呼ばれています。
また、ピリッとした爽やかな辛味をもつことから「オランダガラシ」、「ミズガラシ」という和名がつけられています。
14世紀以降にフランスなどで栽培が行われ、ヨーロッパでは古くから薬用として利用されてきました。
日本には明治時代の初期に伝わり、栽培がはじまりましたが、当時は普及しませんでした。
その後、洋食文化が一般的になるとともに徐々に広まっていきました。
肉料理のつけ合わせのイメージが強いですが、サラダやお浸し、天ぷらや炒め物など、いろいろな料理と相性抜群です。
【おいしいクレソンの見分けかた】
葉がたくさんついていて緑色が濃いもの、茎が太くてまっすぐなもの、そして全体にハリがあるものを選びましょう。
乾燥に弱いので、冷蔵庫に入れるときには湿らせたペーパータオルで包み、ビニール袋に入れて野菜室に立てて保存します。
そのままでも、サッとゆでたものでも冷凍保存することは可能ですが、食感は変わってしまいます。
シャキシャキの食感や香りを楽しみたいのであれば、必要な量だけ購入し、出来るだけ早く食べきるようにしましょう。
【クレソンには女性に嬉しい効果がいっぱい!!】
クレソンは、β-カロテンやビタミンK、葉酸などのビタミン類が豊富な緑黄色野菜です。
このほかに、カリウム、カルシウム、鉄なども多く含まれています。
「β-カロテン」は体内でビタミンAに変わり、皮膚・粘膜の健康や視力維持に働きます。
また、すぐれた抗酸化作用を持ち、がん予防にも効果が期待出来ます。
「ビタミンK」は血液を凝固させる作用のほか、骨づくりに欠かせない栄養素です。
「葉酸」は、赤血球をつくるのに欠かせないビタミンで、不足すると貧血になってしまうおそれがあります。
胎児や乳幼児の成長にも不可欠で、妊娠中や授乳中にぜひ摂っていただきたい栄養素のひとつです。
そのほか、「カリウム」は余分なナトリウムを排出し高血圧・むくみ予防に、「カルシウム」は骨や歯を丈夫にし、骨粗しょう症予防に役立ちます。
貧血予防に働く「鉄」は非へム鉄で体内で吸収されにくいものですが、クレソンにはビタミンCも豊富に含まれているので、鉄の吸収率を高めてくれます。
【なぜ、肉料理にクレソンが添えられるようになったの?】
クレソンのピリリとした辛みは、わさびや大根などと同じ辛み成分「シニグリン」によるものです。
シニグリンは、すりおろしたり、よく噛んですりつぶすことで生成され、消化促進・食欲増進効果や胃もたれを防いでくれる働きがあります。
肉料理のつけ合わせによく使われるのは、味や彩りだけでなく、これらの効果もあるからでしょう。
加熱するとこの成分は生成されないので、辛みを抑えたい場合には炒め物にしたり、揚げたりするのがおすすめです。
ただし、その場合はシニグリンの効果は期待できません。
【クレソン初心者におすすめ!クレソンとベーコンのガーリックライス】
独特のほろ苦さをもつクレソンは、苦手な方も多い野菜です。
今回はベーコンとにんにくと一緒に炒めて香りを和らげた、手軽に作れる主食をご紹介します。
<材料(2人分)> 調理時間:15分
ごはん・・1合分
クレソン・・1束(約50g)
厚切りベーコン・・80g
にんにく(薄切り)・・1かけ分
サラダ油・・大さじ1
酒・・大さじ1
しょうゆ・・大さじ1/2
バター・・10g
塩・・少々
粗挽き黒こしょう・・少々
<作り方>
- クレソンは葉と茎に分け、葉はざく切り、茎は2cm程度のななめ切りにする。
ベーコンは1cm角に切る。 - フライパンにサラダ油・にんにくを入れて火にかける。
にんにくのよい香りがしてきたらベーコンを入れ、薄く色づくまで炒める。 - (2)にクレソンを入れてサッと炒め、酒・しょうゆを加える。
- ごはんを入れて炒め合わせ、バターを混ぜて塩で味を調える。
- 器に盛りつけ、黒こしょうをふる。
ベーコンを牛肉に変えてみたり、バターをごま油に変えてチャーハンにしてもおいしいですよ!
おいしいだけではなく、栄養もたっぷりなクレソン。
料理に添えるだけではもったいないので、ぜひ旬のこの時期にさまざまな料理にチャレンジしてみてください。
Text byまち/食育インストラクター