特有の食感と香りが魅力☆「まいたけ」の話。

秋の味覚であるきのこ。
しいたけ、しめじ、エリンギ、えのきたけ・・・。
さまざまな種類がありますが、皆さんはどのきのこが好きですか?
今回は私も大好きな、特有の香りと食感をもつ「まいたけ」についてご紹介します。

【なぜ「まいたけ」というの?】

「見つけると舞うほど嬉しい」、「カサがひらひら舞っているようにいるように見える」ことからその名がつけられた「まいたけ(舞茸)」
アジアやアメリカ、ヨーロッパなど広く分布し、日本にも自生しているサルノコシカケ科のきのこです。
平安時代末期の「今昔物語集」に「まいたけ」という名前が登場するほど古くからあるきのこです。
しかし、このまいたけが今と同じものなのかは明らかになっていません。
その後、江戸時代に「大和本草(やまとほんぞう)」の菌類の項目で「まいたけ」が紹介されます。
これは、現在のまいたけと同じものだと考えられています。
当時のまいたけはとても貴重なもので、一般的に食べられていたわけではないようです。
一般的に普及したのはごく最近のことで、1970年代に人工栽培に成功し、1980年代に大量に人工栽培されるようになってからと言われています。

【まいたけの選び方と保存方法】

まいたけ1年中流通していますが、天然物の収穫は9月下旬~10月ころに行われ、多く出回ります。
一般的によく見かけるまいたけは茶色をしていますが、真っ白な「白まいたけ」も売られています。
味はほとんど変わりませんが、スープなどに色をつけたくないときなどには、白まいたけがおすすめです。
購入するときは、カサの色が濃い茶色(通常のまいたけの場合)で、ヒダに厚みがありパリッとしているものを選びましょう。
保存は購入時のパックのまま保存出来ますが、開けてしまったときは、ペーパータオルで包み、乾燥しないようビニール袋に入れて野菜室で保存します。
冷蔵庫で4~5日ほど持ちますが、すぐに使いきれない場合には、冷凍保存も可能です。小房に分けてラップ、またはビニール袋に入れ、冷凍庫に入れます。
使うときは、解凍せずそのまま料理に使ってください。1カ月を目安に使い切るようにしましょう。


【まいたけの嬉しい効能】

三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の代謝に必要不可欠なビタミンB群をはじめ、ビタミンDや葉酸などのビタミン類や食物繊維が多く含まれています。
特に注目したいのが、食物繊維の一種である「β-グルカン」です。
β‐グルカンは、免疫力を高め、風邪予防やアレルギー予防の改善に有効です。
さらに、腸のぜん動運動を活発にし、腸内環境を整える働きがあるので、大腸がんをはじめとするがんや脂質異常症の予防に効果があると言われています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を高め、骨や歯の形成をサポートする働きをし、葉酸は赤血球の生成を助け、貧血予防にも役立ちます。

【茶碗蒸しが、かたまらない!?】

まいたけには、たんぱく質を分解する「マイタケプロテアーゼ」という酵素が含まれています。
肉を焼くときに、刻んだまいたけ・にんにく・オイルなどで作ったマリネ液につけ込んでから焼いたり、肉とまいたけを一緒に調理することで、やわらかく仕上がります
しかし、すべての料理においてよい効果が得られるわけではありません。
茶碗蒸しを作るときにきのこを入れる人も多いと思います。
そのときに生のまいたけを入れて「かたまらなかった・・・。」という経験はありませんか?
それは、このマイタケプロテアーゼが卵をかためる力を弱めてしまうからです。
どうしても茶碗蒸しにまいたけを入れたいときは、一度ゆでてから使ってください。

煮ても、焼いても、揚げてもおいしい、万能食材の「まいたけ」。
スープなどの汁物にするときには、汁にもうま味と栄養が溶け出しているので、あますことなくいただきましょう。

Text byまち/食育インストラクター