どんどんと寒くなってくるこの季節、鍋物や椀物に欠かせない「ゆず」についてのお話です。
ゆずは、果汁だけでなく、果皮までおいしく食べられ、料理からスイーツまで大活躍の柑橘です。
【奈良時代から親しまれてきた「ゆず」】
特有の爽やかな香りが特徴のゆずは、中国原産の香酸柑橘(甘みがないため生食には向かない、酸味と香りを楽しむ柑橘類のこと)です。
日本では、奈良時代から栽培されており、料理の風味づけや薬味、調味料などとして古くから親しまれてきました。
最近では、料理だけでなく、スイーツのフレーバーとしても使われています。
生産量は高知県がトップで、全体の半数を占めています。
柑橘と言えば、温かいところで作られるイメージがありますが、ゆずは柑橘の中で寒さに強いとされ、北は岩手県まで栽培されています。
【おいしいゆずの選び方と保存方法】
果皮にハリがあり、傷がなくしなびていないもの、鮮やかな黄色をしていてヘタの部分が枯れていないものを選びましょう。
また、持ったときに重みがあり、香りのよいものが良品です。
購入したら乾燥しないよう、ラップで包んだり、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
すぐに使わない場合には、皮をよく洗ってから水気を拭き取り、そのまま冷凍庫で保存することも出来ます。
【ゆずの香りにはリラックス効果が!】
柑橘類のなかでもトップクラスと言われるほど、ビタミンCが豊富で、肌荒れや免疫力アップに働きます。
このビタミンCは、果汁よりも果皮に多く含まれているので、果汁だけでなく皮までおいしくいただきましょう。
また、ビタミンA(クリプトキサンチン)も多く、のどの粘膜を守り、風邪予防に期待できます。
ゆずの香りはいろいろな成分から成り立っていますが、その中のひとつリモネンは交感神経を活性化させ、血管を広げると言われており、リラックス効果が期待できます。
【冬至に「ゆず湯」に入る理由とは?】
「冬至」は、二十四節気のひとつで、一年で夜が最も長く、昼が一番短い日です。
この日に、「ゆず湯」に入るとよいという風習がありますが、なぜだか知っていますか?
それは、ゆずの木の寿命が長く、病気にも強いことから、ゆず風呂に入ることで「延命長寿」や「無病息災」のご利益があると考えられているからです。
また、香りの強いゆずは、邪気がおこらないとも言われています。
これだけではなく、身体を温めたり、リラックス効果があるので、寒いこの季節にゆず湯に入る風習が定着して行きました。
ただし、ゆずには肌を刺激する作用があるので、肌が弱い方やお子さんはピリピリするということも。
お風呂に入れるゆずの量を加減したり、切らずにまるごと入れるなど、気をつけてゆず湯を楽しんでくださいね。
ちなみに、今年(2020年)の冬至は、12月21日です。
【ゆずジャムを作ろう】
<材料> 調理時間:20分
ゆず・・2個(200g)
グラニュー糖・・80g
<作り方>
- ゆずは果汁を絞り、皮は白い部分ごと千切りにし、熱湯で3~4分ゆでてザルに上げる。
- 鍋にゆず皮・果汁・グラニュー糖を加えて火にかけ、弱火で10分ほど煮てそのまま冷ます。
消毒をした保存容器に入れ、冷蔵庫で1週間~10日ほど保存可能です。
ヨーグルトにかけたり、ホットドリンクで楽しむのはもちろんのこと、砂糖の代わりに煮物や焼き物などに使ってもおいしいですよ。
おいしいだけでなく、無病息災や長寿の願いも込められている「ゆず」。
ぜひ、季節ならではの柑橘を楽しんで下さい。
Text byまち/食育インストラクター