日本には毎日のように「○○の日」が制定されているのをご存知ですか。
その中のひとつに「魚の日」というものがあります。
近年魚離れが進んでいる日本人の食生活ですが、魚は子どもの成長にも欠かせない体にうれしい栄養がたっぷり!
今回はそんな「魚の日」にちなんで、旬のタラを使ったレシピをご紹介します。
【「魚の日」って?】
「魚の日」を制定したのは、「全国水産物商業協同連合組合(全水商連)」という全国のお魚屋さんによる組合です。
「全国の人にもっと魚を食べてもらいたい・普及したい」という思いから、2006年に10月10日を「10(と)月10(と)日=魚(とと)」とかけて制定されました。
当初は10月10日だけでしたが、魚をもっと日常的に食べてもらうため、毎月10日を「魚の日」とし、各地域で魚に関するさまざまな普及活動を行っています。
【タラ】
タラは漢字で魚偏に雪で「鱈(タラ)」と書くように冬が旬の魚です。
漢字の由来は諸説ありますが、「身が雪のように白い」や「初雪が降るころに出回る」などが挙げられます。
身は淡白で、鍋のほか、蒸し物や煮物、揚げ物などいろんな調理法に向いています。
特に新鮮なものは相性のよい昆布で締めて、寿司ネタなどにすることもあります。
日本近海では「真鱈(マダラ)」・「介党鱈(スケトウダラ)」・「氷下魚(コマイ)」が獲れますが、お店などで売っている切り身に「タラ」と書かれていたら、そのほとんどは「マダラ」です。
スケトウダラは主に、かまぼこ・ちくわなどの練り製品として加工されます。
コマイは「ヒメダラ」・「コマイ干し」などの名称で干物として出回っています。
タラは身だけでなく、白子(精巣)や真子(卵巣)・内臓(胃袋や腸)・頭・骨もムダ無く使える魚です。
ちなみに、「たらこ」や「明太子」はタラの真子(卵巣)で作りますが、マダラではなく、スケトウダラの真子を使います。
マダラの真子は煮付けなどにするのが一般的です。
内臓を使った料理としては、韓国のチャンジャが有名です。
ピリッと辛いヤンニョムにごま油の香りが食欲をそそる一品です。
また、青森県津軽地方にはタラのアラ(頭や骨・内臓など)や野菜を使ったみそ味の「じゃっぱ汁(※)」という郷土料理があり、冷えた体を温めるのにピッタリの汁物です。
※じゃっぱ汁は鮭などで作る場合もあります。
【今月の魚料理】
今回は、イタリア ヴェネト州の郷土料理「バッカラ マンテカート」を手に入りやすい甘塩タラで作ってみました。
「バッカラ」とはイタリア語で「塩漬けタラ」を指す言葉で、本来はカチカチになった干しダラを何日もかけて水で塩抜きし、やわらかく戻して使用します。
「マンテカート」は、イタリア語で「混ぜる」・「練る」を意味する言葉で、その名の通り、タラを牛乳や香辛料とともに煮たあと、混ぜたり、練って作ります。
フードプロセッサーを使うレシピもありますが、今回はお鍋ひとつで仕上げていきます。
それではレシピのご紹介です。
【鱈のマンテカート】
マンテカートは「ポレンタ」というトウモロコシ粉を練って作ったものを添えていただくことが多いですが、今回はスライスしてカリッと焼いたバゲットにのせていただくクロスティーニスタイルにしました。
<材料(3~4人分)> 調理時間:30分
甘塩タラ・・正味200g
にんにく・・1かけ
牛乳・・150g
オリーブオイル・・45g
こしょう・・少々
バゲット・・適量
粗挽き黒こしょう・・お好みで
<作り方>
- タラを2~3等分にする
にんにくは芽を取り、叩いてつぶす - 鍋に湯を沸かし、沸いたらタラを入れてサッと湯通しして湯から上げ、粗熱が取れたら皮と骨を外す
- 鍋にタラ・にんにく・牛乳を入れて火にかけ、沸きそうになったら弱火にして、ときどき混ぜながら、水分がほぼなくなるまでゆっくり煮る
- (3)を全体的によく混ぜ、少しずつオリーブオイルを加える
そのつどよく混ぜ、こしょうで味を調える
- バゲットを薄く切り、カリッとこうばしく焼き、(4)を上にのせ、お好みで黒こしょうをかけていただく
<ポイント>
- 甘塩タラの塩加減によって、塩分を強く感じることがありますので、気になる方は、湯通しする前に10分ほど水に浸けて塩抜きしてからご使用ください。
- 今回は甘塩タラで作ったので、塩を加えていませんが生タラで作る場合は塩で味を調えて下さい。
【栄養】
タラは丈夫な体作りに欠かせない、良質なたんぱく質が豊富な食材です。
また、粘膜を保護し、肌荒れや口内炎・風邪予防におすすめのビタミンB2や高血圧に効果的なカリウムも多く含まれます。
いかがでしたか。
あまったらマッシュポテトと合わせてコロッケにしてもおいしいので、お試しください。
魚は世界の海に存在し、人々はその恩恵を昔から受けてきました。
子どもたちに魚の素晴らしさを伝えるよい機会として、毎月10日はぜひ、家族で魚料理を楽しんでみて下さいね。
Text by さゆり/食育インストラクター