4~7月は、初夏を告げる代表的な果物のひとつ、「さくらんぼ」が旬をむかえます。
そのころになると、さくらんぼ狩りをして楽しむ方もいるのではないでしょうか?
きらきらと真っ赤に輝くかわいらしい見ためや、栽培に手間ひまが掛かり、高価であることから「赤い宝石」とも呼ばれています。
品種は全世界で1000種を超えると言われ、広く愛されているさくらんぼについて知りましょう!
【さくらんぼの歴史】
さくらんぼは、紀元前300年ごろにはすでに栽培をされていたと言われているほど古くからあるフルーツです。
日本には、江戸初期に中国から入ってきましたが、気候に合わず普及しませんでした。
その後、明治初期にアメリカやフランスなどの品種が導入され、北海道や山形県などで定着し、日本でもさまざまな品種改良が進められるようになりました。
【さくらんぼの種類】
さくらんぼの主な産地は山形県で、全国生産量の80%近くを占めています。
今回は、人気の品種のなかの5種類の特徴をご紹介します。
●佐藤錦
日本を代表するさくらんぼの品種で、大正時代に山形県の佐藤栄助氏によって育成されました。
鮮やかなルビー色で、上品な甘みとほどよい酸味が特徴。
4月中旬から6月下旬に出回ります。
●高砂
アメリカ生まれの品種で、もともとは「ロックポートピガロー」という名前です。
明治に入ってから日本に導入され、カタカナの名前から高砂に統一されました。
甘味と酸味、香りが強く、果汁がたっぷりなのが特徴です。
4月下旬から6月中旬まで出回ります。
●紅秀峰
山形県が育成し、1991年に品種登録されたさくらんぼです。
ほかに比べて大玉で、甘みが強く、酸味が弱いのが特徴です。
ほかの品種よりも比較的日持ちがよく、店頭でよく見かける品種のひとつです。
4月上旬から6月下旬まで出回ります。
●ナポレオン
18世紀はじめにはヨーロッパですでに栽培されていた品種で、現在、欧米や日本でも一般的です。
濃厚な味わいで、酸味と香りがよいのが特徴です。
出回り時期は、6月下旬から7月上旬とほかのさくらんぼに比べて短めです。
●アメリカンチェリー(ビング)
一般的に輸入されているさくらんぼのことを、アメリカンチェリーと呼んでいますが、すべてがアメリカで作られているわけではありません。
ただ、日本へ輸入されている、約9割は、アメリカのオレゴン州で誕生した、ビングという品種です。
ダークチェリーとも呼ばれ、酸味が少なく、甘みが強いのが特徴です。
出回り時期は長く、4月上旬から8月中旬ごろまで売られています。
【小さい実には、栄養がいっぱい!!】
1粒1粒が小さいさくらんぼ。
量は少ないですが、カリウムやビタミン、ミネラル、ブドウ糖などがバランスよく含まれているので、疲労回復やむくみ予防、肌荒れ予防にも効果が期待できます。
特にほかの果物より鉄分が多く、その吸収を助けるビタミンCも含まれているので、鉄分を補いたい人にもおすすめです。
また、さくらんぼの色素にはポリフェノールの1種である「アントシアニン」が含まれ、眼精疲労にも効果があると言われています。
このポリフェノールは主にアメリカから輸入される「アメリカンチェリー」に多く含まれています。
また、虫歯予防などで知られている天然の甘味料「ソルビトール」も含まれており、便秘の改善に期待が出来ます。
嬉しい効果もたくさんのさくらんぼは、まさに今が旬!
そのまま食べるのはもちろん、食べきらないときはジャムやコンポートにしてこの季節ならではの味を楽しみましょう!
Text by まち/食育インストラクター