サラダや漬物、煮物や炒め物など、生でも加熱してもおいしい「かぶ」。
味にクセがないかぶは、和洋中どんな料理とも相性が抜群です。
【かぶはいつから食べられているの?】
いつ日本に伝わったのか定かではありませんが、「日本書紀」に登場するほど古くからある野菜です。
このころにはすでに食用とされていたようで、江戸時代になると全国的に栽培がはじまり、各地でさまざまな品種が誕生しました。
七草粥に入れる春の七草「すずな」はかぶのことで、このことからも昔から日本の食文化に深く関わっているのが分かります。
【おいしい時期が2回ある!?かぶの旬】
かぶには旬が2回あり、春と秋においしい時期をむかえます。
3~5月の春のかぶは、根はみずみずしくてやわらかく、皮が薄いのが特徴です。
10~12月の秋のかぶは、しっかりした歯ごたえとかぶ本来の香りが楽しめます。
また、厳しい寒さで凍らないよう、甘みやうま味をいっぱいたくわえるので、春のものに比べ、甘味が強いのが特徴です。
【かぶの種類】
かぶには小ぶりでつるっとした「西洋型」と大きめで葉や茎に毛がある「東洋型」があります。
主に西洋型は小かぶ、長かぶなど、東洋型は聖護院かぶなどの中型~大型のもののことをいいます。
丸くて白いイメージのかぶですが、細長いかぶや赤い色をしたかぶなど、種類もいろいろ。
今回は代表的なかぶを5つご紹介します。
■金町小かぶ
直径5~8cm程度の小さなかぶです。
一般的に根は白く、やや扁平な形をしています。
東京都葛飾区の金町周辺で昔から栽培されていたことから、この名で呼ばれるようになりました。
現在はこの金町小かぶの系統を受け継ぐ品種が主流で最も多く流通しています。
■天王寺かぶ
直剣10cm程度の中型のかぶです。
大阪府の天王寺地区が発祥とされ、関西を中心に主に西日本で栽培されています。
根は丸を少し潰した形で、きめが細かく、甘味があるのが特徴です。
長野県で有名な「野沢菜」などのルーツとも言われています。
■聖護院かぶ
直径15~20cm程度、重さは2~3㎏にもなる大型のかぶで、京の伝統野菜のひとつです。
やや扁平でふっくらと丸い形をしています。
根はきめ細かく、やわらかいのが特徴です。
漬物に適しており、千枚漬けの材料としても有名です。
そのほか、煮物や汁物などでよく用いられます。
■日野菜
滋賀県の日野町で発見された細長いかぶで、滋賀県の伝統野菜として知られています。
根の上部が赤紫色、下は白とはっきり色が分かれています。
特有のほろ苦さと辛みが特徴で、漬物をはじめ、温野菜や天ぷらなどにしてよく食べられています。
■赤かぶ
皮が赤や赤紫色をしたかぶの総称で、果肉は基本的に白色です。
山形県の「温海(あつみ)かぶ」や滋賀県の「万木(ゆるぎ)かぶ」、長崎の「長崎赤かぶ」など、全国各地で作られています。
【おいしいかぶの選び方と保存方法】
葉がぴんとしていてみずみずしく、色鮮やかなもの、根に割れ目がなく、ツヤがあるものを選びましょう。
買ってきたら葉と根をすぐに切り分けます。
葉をつけたまま保存すると、根の水分を葉が吸い取ってしまい、風味や食感が損なわれてしまうためです。
それぞれキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて野菜室で保存します。
すぐに使い切らないときは、冷凍保存も可能です。
根は使いやすい形に切ったり、すりおろして保存すると、料理に使いやすいのでおすすめです。
【捨てるなんてもったいない!葉もおいしく食べよう】
かぶは、根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。
かぶの根の90%以上は水分ですが、ビタミンCや消化酵素のアミラーゼなどが多く含まれています。
アミラーゼは、炭水化物の分解を助け、消化を促進してくれるので胃もたれや胸やけを和らげたり、整腸効果があります。
これらの効果を期待するのであれば、サラダや和え物など、生のまま食べるのがおすすめ!
先ほどお話ししたように、今の季節のかぶはみずみずしく、やわらかいので生食にむいています。
そして捨ててしまいがちな葉にも栄養がいっぱい!
β-カロテンやビタミンC、E、K、葉酸などのビタミン類のほか、カルシウムやカリウム、鉄などのミネラルが多く含まれています。これらは体の機能を正常に保ち、健康維持に欠かせない栄養素なので、ぜひ、積極的にとるようにしましょう。
かぶの葉があまったときには、ふりかけがおすすめ!
刻んだ葉をじゃこなどと一緒に油で炒めれば、カサが減るだけでなく、β-カロテンやビタミンE、Kなど脂溶性ビタミンの吸収率もアップします。
ぜひ、今が旬のかぶをあますことなく、まるごとおいしくいただきましょう。
Text by まち/食育インストラクター